長崎大学 熱帯医学研究所のそばにある、長崎大学医学部キャンパス
長崎大学 熱帯医学研究所のそばにある、長崎大学医学部キャンパス
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 東芝と長崎大学は、長崎大学 熱帯医学研究所が開発したエボラ出血熱検査試薬の実用化を目指し、実検体を用いた実用性評価を2015年3月17日に西アフリカ・ギニアで開始する(リリース)。

 両者は、東芝が2009年に実用化した生物剤検知システムの成果を基に、2014年夏からエボラ出血熱の検査試薬に関する共同研究を進めてきた。今回、2014年以降に西アフリカで流行しているエボラウイルスに関して、長崎大学 熱帯医学研究所が検査試薬を開発した。

 現在、現地で使用されている検査装置の多くは、血液や尿などの検体中に含まれるエボラウイルスの検査判定に1時間以上かかるという。今回開発した検査試薬を用いた装置で擬似検体を判定したところ、検査時間を約20分に短縮できた。

 両者はこれを受け、ギニアの首都コナクリにあるドンカ国立病院の協力の下、実際のエボラウイルス感染者の検体を用いた実用性評価を行う。この取り組みでは、長崎大学 熱帯医学研究所 教授の安田二朗氏と同助教の黒崎陽平氏が、既存の検査法と比較した有効性を確認するという。

 東芝は今回の評価結果を踏まえ、この試薬と検査装置で構成する迅速検査システムを、将来的に空港や港湾施設などに提供することを目指す。実用性評価は、2014(平成26)年の厚生労働科学研究委託事業「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(研究統括者:聖路加国際大学 特任教授の竹内勤氏)」の分担研究として実施する。