NEC本社(写真:NEC)
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タイの大規模洪水で被災したNECトーキンの工場(写真:NEC)
タイの大規模洪水で被災したNECトーキンの工場(写真:NEC)
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既存工場の南東に新工場を計画(図:NEC)
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 NECは2012年1月26日、従業員1万人の削減を含めた構造改革計画を発表した。事業環境の急な回復が見込めない中、現状の売上高で利益を上げる効率的な運営体制を採るとする。人員削減の内訳は、国内(外部委託分も含む)が7000人、海外が3000人。また、この構造改革計画で同社は、ITサービスや通信ネットワーク、社会インフラを軸とし、エネルギー事業の拡大を図る方針を掲げた。

 経営改革に伴う一時費用として、NECは2011年度に特別損失400億円を計上する見通し。人員削減や費用削減の効果額としては、2012年度と2013年度に、それぞれ営業利益400億円を見込む。

携帯電話機の開発・生産体制を縮小

 同社は、携帯電話機事業とプラットフォーム事業、NECトーキンの電子部品事業を「課題事業」に挙げた。携帯電話機事業は、国内市場で海外メーカーの攻勢に押されていること、スマートフォンの販売が計画比で低迷していること、海外展開が遅れていることなどから、2011年4月~12月の販売台数が330万台にとどまったため、当初計画の年間650万台を同日、500万台に下方修正している。今後はJDM(joint development manufacturer / joint design manufacturer)を活用することで開発・生産体制の縮小を図る。

 プラットフォーム事業に関しては、他社との提携などにより競争力を高め、クラウド型プラットフォームに集中するとした。また、ハードウエアの開発・生産体制を縮小し、海外生産への移行を加速させるとする。

 NECトーキンの事業は、Ta(タンタル)コンデンサなどを生産するタイ工場が大規模洪水で浸水し、操業を停止(Tech-On!関連記事)。現在も操業開始のメドは立っていない。NECトーキンは、生産量の早期回復を図るため、タイ国内に新工場を取得し、2012年5月から新工場で生産を始める計画だ(NECトーキンのニュースリリース)。生産量は段階的に増やしていく計画で、2012年下期の時点で既存工場の1/4程度になる見込み。その後も生産量を引き上げるが、既存工場が生産してきた全量はカバーできない見通しで、既存工場の扱いを含めて同社はタイでの生産体制について検討していく。また、NECはNECトーキンの事業全般に関して、他社との事業提携について継続的に検討するとした。

自動車向けLiイオン2次電池の売上高は倍増

 同社は、今後注力する分野として、ITサービス、通信ネットワーク、社会インフラに続き「エネルギー」を挙げた。自動車向けのLiイオン2次電池事業では2011年度に前年度比2倍の売上高を見込んでいる。また、インフラとしての蓄電システムなど新領域の事業化を進める。家庭用蓄電システムは2012年春に、価格を100万円台に抑えて販売を始める計画という。系統向け蓄電システムに関しても、実証実験を行い早期の事業化を目指す。

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