タイの大規模洪水により、中部のAyutthaya県およびPathum Thani県で、これまでに7つの工業団地が浸水した。被災した企業は700社を超え、うち6割以上が日系企業という。電機メーカー大手8社に2011年11月2日時点の被害状況や影響を聞いた。この記事では、ソニー、NEC、富士通の状況について伝える(Tech-On!関連記事:東芝・日立の状況パナソニック・三菱電機・シャープの状況)。

ソニー、一部で生産調整

 ソニーは、2工場で浸水被害を受けた。デジタル・カメラやレンズを生産するSony Technology (Thailand) Co., Ltd.のAyutthaya事業所(Hi-Tech工業団地)とデジタル家電向けLSIや携帯電話向けMMIC、CMOSイメージ・センサの後工程を担うSony Device Technology (Thailand) Co., Ltd.(Bangkadi工業団地)である。

 カー・オーディオを生産するSony Technology (Thailand)社のChonburi事業所は操業を続けている。ソニーは、Ayutthaya事業所で生産してきたレンズ交換式デジタル・カメラ「α」や、コンパクト機「Cyber-shot」について、2011年10月21日時点で、Chonburi事業所や中国、日本での代替生産を検討していたが(Tech-On!関連記事1)、現在も検討・調整段階という(Tech-On!関連記事2)。

 また、ソニーは、タイ以外の国・地域の同社工場について、タイ洪水被害による部材不足のため、一部で生産調整を行っているとした。生産品目をはじめ、詳細については明らかにしていない。

富士通、HDD調達は「4Qが課題」

 富士通グループでは、自動車向け電子部品を生産するTranstron (Thailand) Co., Ltd.の工場(Bangkadi工業団地)が浸水被害に遭い、操業を停止した。また、カー・オーディオを生産するFujitsu Ten (Thailand) Co., Ltd.の工場(Rayong県のRojana工業団地)で、操業時間を短縮している。同工場自体に浸水はなかったものの、自動車メーカーの生産調整の影響を受け、通常9時間操業のところ、8時間操業に切り替えた。

 タイ国外での生産に関しては、現時点で影響はないという。HDDについては、タイ以外の国・地域からの調達でまかなう方針。2011年度第3四半期(2011年10月~12月)の生産は通常通り続けられる見通しとする。ただし、第4四半期(2012年1月~3月)のHDD調達は「課題になる」(同社広報)としている。

NEC、コンデンサやPBXの工場が被災

 NECグループでは、Taコンデンサなどの電子部品を生産するNEC TOKIN Electronics (Thailand) Co. Ltd.の工場(Nava Nakorn工業団地)とPBXなどの通信機器を生産するNEC Infrontia Thai Ltd.(Nava Nakorn工業団地)が浸水し、操業を停止した。

 タイ国外での生産には、現時点で影響はないという。HDDに関しては、複数ベンダからの調達や、流通在庫から獲得することなどを含め、通常通りの数量確保に努めており、現在、パソコンやサーバなどの生産に支障はきたしていないとする。

■訂正
記事掲載当初、富士通グループの被災状況について、Fujitsu Ten (Thailand) Co., Ltd.の工場に浸水被害があったとしていましたが、正しくは、浸水被害はなく、操業時間を短縮している状況です。お詫びして訂正いたします。記事本文は既に修正済みです。(2011年11月4日)

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