NFCの概要 Type A/Type B/FeliCaの通信部分をまとめた規格(図の水色の部分)がNFCである。
NFCの概要 Type A/Type B/FeliCaの通信部分をまとめた規格(図の水色の部分)がNFCである。
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 2004年に話題を集めたものの、その後、脚光を浴びることがなかったNFC(Near Field Communicaiton)。そのNFCが突然、2011年になって急速に注目を集めるようになった。きっかけは、米Google社がAndroid 2.3でNFCをサポートしたこと。合わせて同社ブランドのスマートフォン「Nexus S」にNFCの通信機能を搭載した(関連記事1)。その後、NFCを搭載したスマートフォンが他社からも登場してきたことで、「スマートフォンにはNFC搭載が必須」という流れが決まった。これまではNFCに対応したインフラが先か、携帯電話機にNFCが搭載されるのが先か、という“鶏と卵”の問題が常に議論され停滞していたが、これが一気に解消した格好だ(関連記事2関連記事3)。

 Google社はNFCを使ったサービスの第1弾として打ち出したのが、2011年9月に開始した「Google Wallet」である(関連記事4)。スマートフォンのNFC機能を使ってリアル店舗での支払いができるほか、クーポンをGoogle Walletアプリの中に格納し、支払い時にそれを使うといったことが可能である。2012年には、これに対抗するため、米国や欧州で携帯電話事業者が中心となり各国でGoogle Walletに似たサービスが始まる(関連記事5)。

 日本国内でも、NFC搭載スマートフォンを使った決済サービス開始に向けた動きが活発化してきている。象徴的なのは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの3社が共同でNFCでの決済インフラを共同開発するための協議会を2011年12月に発足させたというものである(関連記事6関連記事7)。2012年末に登場する予定のFeliCaとNFCの両方を搭載したスマートフォンに向けた動きと見られる。

 以上のように世界中でNFCを使った決済サービスが発展していけば、日本の「おサイフケータイ」で実現できているようなサービスが、スマートフォンを使って海外でも利用できるようになるだろう。