健康維持や病気予防のために実行している行為のうち,その行為を記録している割合が最も高いのは「血圧」――。

 日経BP社と日経BPコンサルティング,デジタルヘルスOnline が実施した,ライフスタイルに関するアンケート「デジタルヘルス ニーズ実態調査」から,このような結果が明らかになった(表1)。調査の概要は,本連載の第1回目の記事に示した通り。

表1:健康維持,病気予防のためにしている行為を記録しているか(行為の実行者ベース)
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 定期的に血圧を測定している人のうち,その数値を記録していると答えたのは,約41%に上った。体重/体脂肪率を記録しているのは約28%,ウォーキング(歩数など)が約18%と続いた。他の項目に比べ,血圧の記録率が際立って高いことがうかがえる(それぞれの項目の母数に相当するのは,第1回目の記事における表6の回答者)。

 血圧の記録率が高い理由としては,日常的に血圧を測定している人は,健康維持や病気予防という目的意識がより明確であることが考えられる。また,血圧の場合は特に,その時々の測定値だけでなく,相対的な変化を把握することに大きな意味があることが影響していると推測できる。

定期的に血圧を測定しているのは約28%

図1:体験者の測定結果をシールで張り付けた結果。「ほぼ半数の人の血圧が“高め”だった」(Continua Health Alliance)という

 健康管理サービスを提供する事業者にとってみれば,血圧の数値管理に高いニーズがあると見ることができるだろう。ただし,現状では,他の項目に比べると血圧測定は習慣化されていない。実際,定期的に血圧を測定しているのは,今回の調査回答者全体の約28%にとどまる。一方で,体重/体脂肪率を測定している人は約52%,ウォーキングをしている人は約48%に及ぶ。事業者にとっては今後,血圧測定の習慣化を促すような仕掛けも必要になりそうだ。

 2010年10月に開催された「CEATEC JAPAN 2010」では,デジタルヘルスケア・プラザにおいて,Continua Health Alliance対応の機器を利用した血圧計測体験が実施された(関連記事)。会期中に約1300人の来場者が測定に参加した(図1)。この企画の狙いは,「簡単に血圧の数値管理ができることを理解してもらう」(Continua Health Alliance)ことにあるという。これも,血圧測定の習慣化を促す一つのアプローチと位置付けられる。

記録したいが,できていない人も10%を超える

 表1の結果をよくよく見ていくと,血圧や体重/体脂肪率などの項目について,「記録したいと思っているが,できていない」という回答が,軒並み10%を超えていることが分かる。血圧については約12%,体重/体脂肪率は約14%,ウォーキング(歩数など)は約12%といった具合である。

 これらは,サービス事業者にとって開拓すべき層と言えるだろう。簡単・気軽に,あるいは低価格で記録できるような製品/サービスを提供することで,このような“記録意欲”を持っているユーザーを取り込むことが必要になりそうだ。