肉体的疲労感を感じている人は約6割。さらに,それを上回る割合の人が,精神的ストレスを感じている――。

 日経BP社と日経BPコンサルティング,デジタルヘルスOnlineが実施した,ライフスタイルに関するアンケート「デジタルヘルス ニーズ実態調査」から,このような結果が明らかになった(表1)。調査の概要は,本連載の第1回目の記事に示した通り。

表1:日常において肉体的疲労感,精神的ストレスを感じているか
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 日常において肉体的疲労感と精神的ストレスを感じているかを尋ねた結果,肉体的疲労感を感じている(強く感じている+まあ感じている)としたのは,全体の約62%。これに対して,精神的ストレスを感じている(強く感じている+まあ感じている)としたのは,約69%だった。

 特に,精神的ストレスを感じているとした割合が高かったのは,「男性40代」「女性20代」「男性20代」。働き盛りの「男性40代」に加え,20代の若年層が強く精神的ストレスを感じていることが浮き彫りになった。

 精神的ストレスを感じているかどうかだけでなく,実際にメンタル面で不安定なのか安定しているのかについても尋ねた。その結果,全体の約32%の回答者が,メンタル面で現在不安定,あるいは過去に不安定になったことがあるとした(表2)。

表2:メンタル面での健康状態について

 さらに,メンタル面での健康管理については,約24%が「あまりできていない」「できていない」と回答した(表3)。

表3:メンタル面での健康管理・維持について

三つの手法で“心”を測る

 精神的ストレスが一因となり,疾患につながるケースは少なくない。そのため,「心の健康こそ,元気なうちから管理しておく意義が大きい」(関西医科大学 教授 教養部健康科学 健康科学センター長の木村穣氏)といえる。こうした“心の健康管理”を手軽に実現する製品やサービスは今後,ますますその必要性が高まりそうだ。

 ストレス度など心の状態を測る手法は,主に三つある。(1)心拍などの生体信号を測る生理的手法,(2)ホルモンなどの生体物質を測る生化学的手法,(3)問診などによる心理学的手法,である。実際,これらの手法を利用した製品やサービスなどが,最近になって登場してきている。

図1:韓国Samsung Electronics Co.,Ltd.が開発した携帯型音楽プレーヤー「MyFit」

 (1)の生理学的手法を利用した例としては,韓国Samsung Electronics Co.,Ltd.が開発した携帯型音楽プレーヤー「MyFit」がある(図1)。心拍数などを測るセンサを内蔵し,指などから取得したデータを基にストレス度を5段階で評価する(関連記事)。2010年10月の「CEATEC JAPAN 2010」で,村田製作所が披露した「バイタルサインセンサ」も同様の技術と位置付けられる(関連記事)

 (2)の生化学的手法を利用した例としては,産業技術総合研究所とロームが共同開発しているシステムがある。唾液に含まれる特定のホルモンの濃度を計測することで,ストレス度を計測する仕組みである。具体的には,マイクロ流路から成るディスク型チップに唾液を注入し,可搬型の分析装置で,ストレスと相関があるとされるホルモンの濃度を測る。

 (3)の心理学的手法を利用した例としては,エフ・ビー・アイが提供している「こころの体温計」がある。携帯電話機にインターネット経由で提供される複数の質問に答えることで,ストレス度を判定できるサービスである。

 次回の記事では,自身の健康の記録などについて報告する。