図1 WPC会長のMenno Treffers氏
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図2 16品種のQi規格対応製品を披露した
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図3 韓国Hanrim Postech社の試作機では,フィンランドNokia社の携帯電話機にワイヤレス給電システムを組み込んだ
図3 韓国Hanrim Postech社の試作機では,フィンランドNokia社の携帯電話機にワイヤレス給電システムを組み込んだ
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図4 「iPhone 4」向けの受電ケースは米Energizer社製。日本ではエム・シー・エム・ジャパンが取り扱う
図4 「iPhone 4」向けの受電ケースは米Energizer社製。日本ではエム・シー・エム・ジャパンが取り扱う
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図5 テーブルや家具などに組み込むことを想定したタイプもある
図5 テーブルや家具などに組み込むことを想定したタイプもある
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図6 三洋電機 モバイルエナジーカンパニー 充電システム事業部 事業部長の遠矢正一氏
図6 三洋電機 モバイルエナジーカンパニー 充電システム事業部 事業部長の遠矢正一氏
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 ワイヤレス給電の業界団体であるWireless Power Consortium(WPC)は2010年12月2日,日本では初めてとなる記者発表会を開催した。同団体が推進しているワイヤレス充電の業界標準規格の取り組みを説明すると共に,規格に準拠していることを表す「Qi(チー)」マークが付いている試作機を披露した。

 WPCは2008年12月に,米Texas Instruments Inc.(TI社)やオランダRoyal Philips Electronics社,三洋電機など8社によって設立された団体。参加企業は2010年12月2日現在で68社まで増えている( Tech-On! 関連記事1)。スマートフォンやデジタル・カメラなど出力5W以下の機器に向けた標準規格の策定を2010年7月23日に完了し,対応製品の投入に向けて準備を進めていた( Tech-On! 関連記事2)。

 登壇したWPC会長のMenno Treffers氏は「ワイヤレス給電ができる携帯電話機を持っていても,独自規格であれば意味が無い。例えば,海外の出張先のホテルに備えつけたワイヤレス給電システムと互換性がなかったら使うことはできない。規格を共通化しなければ,特別なニーズを持つユーザー向けのニッチな製品にとどまってしまう」と標準規格の重要性を説いた(図1)。Qi規格に準拠した機器であれば,異なるメーカーの機器間でも充電が可能である。会場では,16品種の対応製品を展示した(図2~5)。WPC PWG議長のCamille Tang氏によれば「2カ月前に記者発表会を開いた香港でデモした製品の2倍の数を用意できた」という。

機器だけでなくインフラ整備も


 発表会ではこのほか,三洋電機とNTTドコモによる講演があった。両社は2010年10月に開催された「CEATEC JAPAN 2010」において,Qi規格に準拠した携帯電話機と給電パッドを出展している( Tech-On! 関連記事3)。

 三洋電機 モバイルエナジーカンパニー 充電システム事業部 事業部長の遠矢正一氏は「2011年をキックオフとし,2015年にはユーザーの充電スタイルを完全に変えられるよう積極的に関与していきたい」と意欲を示した(図6)。携帯機器向けの給電システムの開発を進める一方で,充電インフラの整備にも積極的に関わっていくという。テーブルや家具などのインテリアへの組み込み,空港やホテルなど公共場所での展開を進めていく方針だ。「いつでも,どこでも“チョイより充電”を普及させたい」(遠矢氏)とした。

 NTTドコモはWPCの参加メンバーではないが「ワイヤレス給電の標準規格は携帯電話機業界にとってインパクトがある。積極的に関わっていく」(同社 移動機開発部 技術推進担当 担当課長の金井康通氏)という。NTTドコモでは現在,ワイヤレス給電時における電波受信感度の劣化やノイズ放射の影響,互換性などについて検証を進めている段階。すべての項目の評価は済んでいないものの「携帯電話機への採用に必要なレベルに達している感触を得ている」(金井氏)と期待感を口にした( Tech-On! 関連記事4)。