図1 初披露した,WPC準拠のワイヤレス給電システムの試作品
図1 初披露した,WPC準拠のワイヤレス給電システムの試作品
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図2 電池パックは三洋電機製で,受電コイルを内蔵する
図2 電池パックは三洋電機製で,受電コイルを内蔵する
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図3 送電コイルが動いている様子が分かる
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 NTTドコモは,携帯電話機を非接触で充電するシステムを試作し,「CEATEC JAPAN 2010」(10月5~9日,幕張メッセ)の会場で展示した(図1)。ワイヤレス給電の業界団体であるWireless Power Consortium(WPC)が策定した規格に準拠しているのが大きな特徴。携帯電話機や給電パッドには,WPCの規格に準拠していることを表す「Qi(チー)」マークが付いている。製品化については明言を避けた。

 試作した携帯電話機は既に販売されている機種の充電回路を改良したもので,専用の電池パックを取り付けることでワイヤレス給電が可能になる。電池パックは三洋電機製で,内部に受電コイルや整流回路などを組み込んだ(図2)。既存の2次電池の外形寸法に収めたため,搭載できる電池の容量は「600mAhほど」(同社ブースの説明員)と,一般的な電池パックよりやや小さくなる。

 充電パッドも三洋電機製。給電パッドに携帯電話機を置くと,内蔵する送電コイルがその位置まで自動的に移動する。これにより,高い位置自由度を実現した。伝送効率は,「コイル間で95%以上。総合効率でも70~80%を達成している」(同氏)という。送電コイルの駆動には,ステッピング・モータを用いる。展示した試作機では送電コイルの位置をLEDで光らせており,移動する様子を確認できる(図3)。このモータの厚さが「10mmほどある」(同氏)ため,薄型化は難しい。

 複数の機器への同時充電には対応していない。給電パッド上に2個の携帯電話機を置いた場合は,先に置いた方をまず充電し,完了した後送電コイルを動かしてもう1台を充電する仕様である。

 なお,三洋電機はWPCの創設メンバーの一社で,「Regular Member」として標準規格の策定にかかわってきた。スマートフォンやデジタル・カメラなど出力5W以下の機器に向けた標準規格の策定は2010年7月23日に完了しており,対応製品が登場し始めた段階である( Tech-On! 関連記事)。