図1 会見するパナソニック 代表取締役社長の大坪文雄氏
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図2 今後のスケジュール
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図3 16部門を3事業分野・9部門に再編する
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図4 消える「SANYO」ブランド
図4 消える「SANYO」ブランド
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 パナソニックは2010年10月29日,2011年4月に完全子会社化する三洋電機とパナソニック電工との3社の事業・組織を再編する「Transformationプロジェクト」の進捗状況を明らかにした( Tech-On! 関連記事1 同2同3)。会見したパナソニック 代表取締役社長の大坪文雄氏は,「具体的な新事業体制や戦略は2011年度の上期に発表するが,枠組みはおおむね固まってきた」と述べた(図1,2)。

 完全子会社化する三洋電機とパナソニック電工との3社の事業を「コンシューマー」,「ソリューション」,「デバイス」の3事業分野に分け,さらに製品やサービスで9個の部門を発足する(図3)。それぞれある本社部門も2012年1月に一本化する。重複事業を整理することで,2012年度に営業利益で600億円のシナジー効果を目指す。

 主力のコンシューマー事業は,マーケティング力の強化を最優先事項に掲げる。これまで日本と海外で個別に展開してきたマーケティング機能を一本化し,需要が拡大する新興国など海外にリソースを戦略的に投入する。大坪氏は「各地域のニーズを掘り起こし,その場で製品を開発,製造,販売する現地完結型にしていく必要がある」と強調。「日本も世界の一地域という認識で,“国内”という特別意識をやめる」(同氏)と続けた。

 製品ブランドは,2012年4月に「Panasonic」ブランドに一本化することも正式に明らかにした。「SANYO」ブランドは,段階的に生産を縮小する(図4)。ただし,東南アジアなど三洋電機の白物家電が高いシェアを握る地域については例外を検討する。

 デバイス事業分野では,「Liイオン2次電池や太陽電池など,三洋電機の強みを最大限に活用する」(同氏)と説明した。Liイオン2次電池や太陽電池の「エナジーデバイス」分野は「これから年率2ケタの成長が期待できる」(同氏)とみる。収益の柱としてに育てるソリューション分野は,4部門を新設する。このうち「環境・エナジーソリューションズ」部門では,顧客に省エネ家電などを一括供給する「まるごと」事業を世界展開する( Tech-On! 関連記事4)。