パナソニックとパナソニック電工,三洋電機の3社は2010年7月29日,それぞれの取締役会において2011年4月をメドにパナソニックによるパナソニック電工と三洋電機の完全子会社化を進めることを決議した。

 これに伴い,両子会社の普通株式に対する公開買付けを2011年8月23日~10月6日まで実施する。価格はパナソニック電工1株当たり1110円,三洋電機1株当たり138円を予定。パナソニックが両子会社の株式の買付予定株数のすべてを買い付けた場合,総額は最大8184億円となるもよう。

 今回の公開買付けによりパナソニック電工と三洋電機のそれぞれの買付予定数のすべてを買い付けられなかった場合には,パナソニックを完全親会社とするために,パナソニック電工と三洋電機のそれぞれで株式交換を実施する。

 パナソニックは,2004年4月にパナソニック電工を,2009年12月に三洋電機を連結子会社化し,現在,パナソニック電工で51%,三洋電機で50.05%の株式を保有している。こうした中,環境・エナジー関連市場の急拡大や,新興国市場の急成長など,事業拡大の好機がある一方で,日米欧に加えて韓国・台湾・中国の企業などとの競争がデジタル家電などの分野にとどまらず,2次電池や太陽電池,電気自動車関連といった分野においても激化し,こうした競争に打ち勝つためには両子会社の完全子会社化により意思決定の迅速化とシナジー効果の最大化を図る必要があるとしている。

 パナソニックでは2012年1月をメドに「コンシューマ」「デバイス」「ソリューション」の3事業分野ごとに3社の事業・販売部門を統合・再編する。このうち,コンシューマ事業分野では,マーケティング機能をグローバルに再編し,特に海外の民生市場の強化を図る。デバイス事業分野では,三洋電機の2次電池や太陽電池などの事業の強みと顧客ネットワークを引き続き活用し,社内用途に依存しない自立した事業として提案型ビジネスを強化する。ソリューション事業分野では,パナソニック電工の事業の強みと顧客ネットワークを活用し,顧客に対するソリューションごとに開発・製造・販売を一元化する。

 本社部門については3社の組織を統合・スリム化しつつ,戦略機能を強化する。さらに,こうした事業分野の再編と併せてブランドについても将来的に原則「Panasonic」へ統一する方向で検討する。ただし,事業や地域によっては一部「SANYO」の活用も継続する予定。

 パナソニックでは,事業再編によって中期計画で中核事業と位置付ける「エナジーシステム」「冷熱コンディショニング」「ネットワークAV」の各事業においてグローバルでの競争力を高め,次代の中核事業と位置付けている「ヘルスケア」「セキュリティ」「LED」の事業成長を加速させる考え。こうした取り組みによって中期計画の目標である2012年度に売上高10兆円,営業利益率5%以上、ROE10%,フリー・キャッシュ・フロー3年累計8000 億円以上,CO2削減貢献量5000万トン(2005年度基準)を確実に達成し,より一層の上積みを目指したいとしている。