会見する同社 代表取締役社長の大坪文雄氏(左)と同社 常務取締役の上野山実氏(右)
会見する同社 代表取締役社長の大坪文雄氏(左)と同社 常務取締役の上野山実氏(右)
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 パナソニックは2010年10月29日,同年4~9月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期に比べ31%増の4兆3679億円,営業利益は同5.86倍の1690億円となった。前年同期に469億円の赤字を計上した当期純損益は,747億円の黒字に転換した。

 新興国を中心に薄型テレビや白物家電が好調に推移した。例えば,「ボリュームゾーン戦略として中国市場向けに投入した縦型の全自動洗濯機や壁掛けエアコンが好調だった。中国市場は,前年同期比67%増となる販売金額の伸びを記録した」(同社 代表取締役社長の大坪文雄氏)。国内市場は,家電エコポイント制度の後押しで薄型テレビが好調だったほか,猛暑の影響でエアコン販売も伸びた。

 事業セグメント別では,デジタルAVCネットワーク部門が売上高1兆6578億円,営業利益613億円だった。携帯電話機やデジタル・カメラなどの売り上げは減少したものの,薄型テレビやカー・エレクトロニクス,Blu-ray Disc(BD)レコーダーなどが好調だった。このほか,すべての事業セグメントで増収増益を達成した。「これまで進めてきたコスト削減策によって損益分岐点を引き下げられた。徐々に利益を出しやすい体質になってきた」(同社 常務取締役の上野山実氏)とする。

 2011年3月期の通期業績予想は据え置いた。下期以降の経営環境は,「円高や原材料価格高騰,競争激化に伴うさらなる価格下落などが見込まれる」(上野山氏)ためだ。売上高は前期比20%増の8兆9000億円,営業利益は同63%の3100億円を見込む。最終損益は850億円の黒字に転じる見通し。

 なお,同社は開催した記者会見で,2011年4月に完全子会社化する三洋電機とパナソニック電工との3社の事業・組織再編の進捗状況も発表した( Tech-On! 関連記事)。