図1 3D映像の表示に対応する「CELL REGZA」。右が「X2」左が「XE2」
図1 3D映像の表示に対応する「CELL REGZA」。右が「X2」左が「XE2」
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図2 CELL REGZAの基板
図2 CELL REGZAの基板
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図3 X2に搭載するLEDバックライト
図3 X2に搭載するLEDバックライト
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図4 3D映像用の「超解像技術」
図4 3D映像用の「超解像技術」
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図5 「動き検出」の説明
図5 「動き検出」の説明
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図6 「構図検出」の説明
図6 「構図検出」の説明
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図7 「顔検出」の説明
図7 「顔検出」の説明
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 東芝は2010年7月28日,3次元(3D)映像の表示に対応した液晶テレビとして,最上位モデルである「CELL レグザ(REGZA)」を3機種,普及モデルである「レグザ(REGZA)」を5機種,合計8機種を発表した(ニュース・リリース1ニュース・リリース2)。3D対応のBlu-ray Disc(BD)レコーダー/プレーヤー「レグザ(REGZA)ブルーレイ」も提供する(ニュース・リリース3)。2010年8月以降,順次発売する予定。

CELL REGZAの46型が登場

 CELL REGZAは,東芝やソニー・グループ,米IBM Corp.で共同開発したマイクロプロセサ「Cell Broadband Engine(以下Cell)」を搭載する液晶テレビ。第1弾である「X1」は55型品の1機種だけであったが,「CEATEC JAPAN 2009」の開催前日である2009年10月5日に発表し,大きな注目を集めた(Tech-On!の関連記事)。第2弾となる今回は,従来機種の機能を踏襲しつつ,3D映像の表示に対応した。市場投入するのは,55型品の「X2」,55型と46型品の「XE2」の2シリーズ3機種。共に,3D映像を視聴するための専用メガネを1個同梱する。市場想定価格は,X2の55型品が100万円前後,XE2シリーズの55型品が70万円前後,46型が60万円前後。

 搭載する液晶パネルは,共にバックライト光源に白色LEDを採用する。LEDバックライトの配置場所は,X2がパネルの直下に配置する「直下型」,XE2シリーズがパネルの上下2辺に配置する「エッジ型」。X2に搭載する白色LEDは3072個であり,入力映像に対して白色LEDを512領域(16×32)で発光制御する。領域内の複数の白色LEDをすべて最大の輝度となるように発光した場合,2次元(2D)映像を表示した際のピーク輝度は1000cd/m2,映像表示時のコントラスト比は900万対1となる。

クロストークは黒挿入で対策

 3D映像用の表示は,他社と同様に「フレーム・シーケンシャル方式」を採用する(Tech-On!の関連記事2Tech-On!の関連記事3Tech-On!の関連記事4))。左目と右目用の映像が重なり合うことで発生する「クロストーク」の対策については,液晶パネルの駆動周波数を240Hzに高めたほか,LEDバックライトの発光制御を組み合わせた。入力映像信号が左目用と右目用それぞれ60フレーム/秒である場合,左目用と右目用の映像にそれぞれ,黒画面を挿入する。X2では,直下型のLEDバックライトを搭載するため,映像を表示するタイミングに合わせて,垂直方向に16分割でLEDバックライトの発光を制御する。2D表示時のピーク輝度が1000cd/m2と高いため,3D映像を表示した際にも明るい映像を見られるという。XE2シリーズでは,エッジ型のLEDバックライトを搭載するため,垂直方向に上下の2分割で発光を制御する。

 CELL REGZAではさらに,3D映像向けの「超解像技術」と通常の2D映像を3D映像に変換する「2D-3D変換」機能を備えた。共にCell上でソフトウエア処理により実現する。超解像技術は,入力信号の解像度を超える映像信号を擬似的に作り出す技術。現在,スカパーJSATなどが3D放送で採用する「サイドバイサイド方式」では,水平方向の解像度が1/2に低下してしまう。東芝は,通常の2D映像と同様に「再構成型」と「自己合同性型」と呼ぶ2種類の超解像技術を用いることで,3D映像時の表示性能を高めたという。

 2D-3D変換は,2D映像から「動き検出」と「構図識別」「顔検出」の三つの情報を抽出・解析することで,それぞれ奥行きを推定する。例えば,動き検出の場合,検出した動きベクトルが長いほど手前にあると判定する。構図識別の場合は,下面の4隅の色のヒストグラムを算出し,約1400枚のサンプル画像から構図を推定し,奥行きを割り当てる。顔検出でも同様に,入力映像から検出した顔位置を基準に人型の奥行きデータを割り当てるという。これらの情報を組み合わせて,視差のある映像を生成する。

REGZAブランドは「3Dレディ」品

 3D映像の表示に対応するREGZAは,「ZG1」と「F1」の2シリーズ。画面寸法は,ZG1シリーズが55型,47型,42型の3機種,F1シリーズは55型と46型の2機種。F1シリーズは,表示部が最薄29mmと薄いのが特徴。共に,3D映像を視聴するための専用メガネを同梱しない,いわゆる「3Dレディ」型の製品である。市場想定価格は,ZG1の55型品が45万円前後,47型品が35万円前後,42型品が28万円前後,F1の55型品が43万円前後,46型品が33万円前後である。

 ZG1とF1は共に,CELL REGZAのXE2と同様,エッジ型のLEDバックライトを搭載する。液晶パネルの駆動周波数は240Hzであり,クロストーク対策はXE2と同一である。