図1 3D映像の表示に対応する「BRAVIA」3シリーズ8機種
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図2 3D映像のデモの様子
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図3 ソニーマーケティング ディスプレイマーケティング部 統括部長の粂川滋氏
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図4 ソニー ホームエンタテインメント事業本部 SVPの石田佳久氏
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図5 LX900シリーズは本体右下に赤外線センサを内蔵する
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図6 別売りの3Dメガネにはブラックだけでなく,ブルーとピンクも提供予定
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図7 同一フレームを2枚表示し,映像が混在しないタイミングのみLEDバックライトを点灯(図下の赤枠)
図7 同一フレームを2枚表示し,映像が混在しないタイミングのみLEDバックライトを点灯(図下の赤枠)
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図8 3D映像表示時は,LEDバックライトの発効効率も高める
図8 3D映像表示時は,LEDバックライトの発効効率も高める
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図9 2D映像を3D映像に変換するための「3Dボタン」をリモコンに搭載
図9 2D映像を3D映像に変換するための「3Dボタン」をリモコンに搭載
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 ソニーは2010年3月9日,液晶テレビ「BRAVIA」の新製品として,3次元(3D)映像の表示に対応する3シリーズ8機種を発表した(図1,図2,ニュース・リリースTech-On!の続報1続報2)。2010年6月10日から,順次発売する予定。テレビの発売に合わせて,家庭用ゲーム機「プレイステーション 3」(PS3)をソフトウエア・アップデートによって3D映像に対応させるほか,3D対応のゲーム・ソフトの発売も計画する。3D対応のBlu-ray Disc(BD)レコーダー/プレーヤーは,2010年の夏から秋に販売する予定だ。「2010年はソニーにとって3D元年。テレビ・ビジネスのみならず,他の機器にとっても重要だと位置付けている」(図3,ソニーマーケティング ディスプレイマーケティング部 統括部長の粂川滋氏)。テレビと他の機器との連携,ソニー・グループでの連携によるコンテンツの拡充,3Dコンテンツを体感できる場の提供の三つを掛け合わせることで,「3Dテレビの販売シェアでナンバーワンを目指したい」(粂川氏)と意気込む。販売数量に関しては,「2010年度は,液晶テレビ全体で少なくとも2500万台以上を目標としている。3D対応機の比率は,おそらく10%程度」(図4,ソニー ホームエンタテインメント事業本部 SVPの石田佳久氏)としており,250万台程度を見込む。

 3D映像に対応するのは,「LX900」と「HX900」,「HX800」の3シリーズ。LX900シリーズは,アクティブ方式の液晶シャッター搭載の「3Dメガネ」を2個同梱するほか,液晶テレビには表示映像と眼鏡を同期させるための赤外線センサ「3Dシンクロトランスミッター」を内蔵する(図5)。「お買い求めになったその日から3D映像を家庭で楽しむことができる」(ソニーマーケティングの粂川氏)。画面寸法は,60型と52型,46型,40型の4機種。市場想定価格は60型品が58万円前後,52型品が43万円前後,46型品が35万円前後,40型品が29万円前後。本体中央下部にはカメラを搭載しており,人がテレビの前にいるかやテレビを見ているかどうかを感知して自動で画面輝度の調整や消画を実行する機能を備える。

 HX900シリーズとHX800シリーズは3Dメガネを同梱しないほか,本体には3Dシンクロトランスミッターを内蔵しない。3D映像を見るには,これらの機器を別途購入する必要がある。画面寸法は,HX900シリーズは画面寸法が52型と46型で,市場想定価格はそれぞれ47万円前後と39万円前後である。一方,HX800シリーズは画面寸法が46型と40型で,市場想定価格はそれぞれ28万円前後と22万円前後。別売りとなる3Dメガネは市場想定価格が1万2000円,3Dシンクロトランスミッターは市場想定価格が5000円前後(図6)。

4倍速駆動でクロストークを低減

 3D映像用の表示には,240Hz駆動でLEDバックライトを搭載する液晶テレビと3Dメガネ,Blu-ray Disc対応機を組み合わせた「フレームシーケンシャル表示方式」を採用する。これは,パナソニックが発表済みの3Dテレビと同様の方式であり,1920×1080画素のフルHD映像で,3D映像を見ることができる(Tech-On!の関連記事1)。

 フレームシーケンシャル表示方式を採用する,3Dテレビの課題に挙げられるクロストーク(左目用と右目用の映像が重なり合うことによる表示不良)を抑制するため,ソニーは以下の改良を施した。入力映像信号が左目用と右目用それぞれ60フレーム/秒である場合,左目用と右目用にそれぞれ入力映像信号と同じフレームを2枚連続で表示する(図7)。左目用または右目の映像のみが表示されるタイミングでのみバックライトを点灯し,左目用と右目用の映像が混在するタイミングではバックライトを消灯する。こうすることにより,「クロストークを極限まで低減できた」(同社の説明員)とする。なお,バックライトの点灯時には,LEDの発効効率を通常の2D映像を表示する場合よりもより高めたとする(図8)。

 このほか,今回の新製品は,通常の2D映像を3D映像に変換する「2D→3D変換機能」を搭載する(図9)。入力映像からフォーカスがある部分を検出し,疑似的な3D映像を作り出すもの。「自社の独自アルゴリズムを用いているが,詳細は非公開」(同社の説明員)とする。なお,2D映像を3D映像に変換する技術は,日本ビクターや東芝などが試作機を披露している(Tech-On!の関連記事2関連記事3)。