図1 シャープが発表した3Dテレビ
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図2 副社長執行役員 AVシステム事業統轄の松本雅史氏
図2 副社長執行役員 AVシステム事業統轄の松本雅史氏
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図3 「AQUOS クアトロン 3D LV3」シリーズ
図3 「AQUOS クアトロン 3D LV3」シリーズ
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図4 同梱する「3Dメガネ」
図4 同梱する「3Dメガネ」
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図5 黄色やシアンの色再現範囲を拡大
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図6 RGBYそれぞれのサブピクセルごとに画像処理を実施
図6 RGBYそれぞれのサブピクセルごとに画像処理を実施
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図7 「AQUOS クアトロン LX3」シリーズ
図7 「AQUOS クアトロン LX3」シリーズ
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図8 「AQUOS クアトロン XF3」シリーズ
図8 「AQUOS クアトロン XF3」シリーズ
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 シャープは2010年5月31日,3次元(3D)映像の表示に対応する液晶テレビ「AQUOS クアトロン 3D LV3」シリーズ4機種を発表した(図1,ニュース・リリース1)。3D映像の表示に対応したBlu-ray Disc(BD)レコーダー「AQUOSブルーレイ」2機種と共に,2010年7月30日に発売する(ニュース・リリース2)。国内での液晶テレビ「AQUOS」に占める3D対応モデルの販売目標として,「2010年度は5~10%,2011年度は50%を目指す」(図2,同社 副社長執行役員 AVシステム事業統轄の松本雅史氏)。

 画面寸法は,60型,52型,46型,40型の4機種(図3)。市場想定価格は,60型が60万円前後,52型が45万円前後,46型が37万円前後,40型が28万円前後である。3D映像による価格プレミアムは,後述する通常の2次元(2D)表示対応モデルに対して5万円程度になる見込みだ。3D映像視聴用に液晶シャッター搭載の「3Dメガネ」を1個同梱する(図4)。別途購入する際の市場想定価格は1万円とする。3D対応のBDレコーダーは,記録容量が2Tバイトの「BD-HDW700」が30万円前後,記憶容量が1Tバイトの「BD-HDW70」が20万円前後である。

4月発表の3D技術を導入

 3D映像の表示には,シャープが2010年4月12日に発表したテレビ向けの3D技術を採用する(Tech-On!の関連記事)。基本原理は,既に3Dテレビを発表済みのテレビ・メーカー各社と同様に,240Hz駆動でLEDバックライトを搭載する液晶テレビと3Dメガネを組み合わせた「フレーム・シーケンシャル方式」である。

 シャープ独自の技術として,(1)紫外線光を用いて液晶分子の配置方向(配向)を制御する表示モード「UV2A」技術,(2)液晶パネルのカラー・フィルタに,RGBの3色にY(イエロー)を加えた4原色品を用いる「クアトロン」技術,(3)1画素当たり1本のソース配線で,液晶パネルを240Hzで駆動できる「FRED」技術,(4)LEDバックライトを横方向に5~6程度の領域に分割して点灯する「スキャニングLEDバックライト」技術を開発した。これらにより,フレーム・シーケンシャル方式の課題である,輝度の低下やクロストーク(左目用と右目用の映像が交ざり合う状態)の発生を抑えた。 
 
 これら四つの中で,シャープがアピールしたのがクアトロン技術である(Tech-On!の関連記事2)。RGBの3色にYを加えることで,黄色やシアンの色再現範囲が拡大する(図5)。加えて,Yを追加したことで,LEDバックライトに含まれるYの波長成分を使用できるようにため,光の利用効率が拡大し低消費電力が図れるとする。さらに,RGBYそれぞれのサブピクセルごとに画像処理を加えることで,精細感を高めたという(図6)。同社の従来品では,RGB3色を一つの画素(ピクセル)に対して,画像処理を実施していた。

 搭載するバックライトは,白色LEDをパネルの背面に配置した「直下型」である。通常の2D表示時には,領域発光制御は実施しておらず,映像信号に対してパネル全面で輝度を調整する。

4原色対応の2Dテレビも発表

 シャープは,3Dテレビの発表に合わせて,クアトロン技術を搭載した液晶テレビ「AQUOS クアトロン」を発表した。「LX3」シリーズ4機種と,「XF3」シリーズ2機種の合計6機種。国内でのAQUOS販売に占める4原色カラー・フィルタ搭載モデルの目標として,「2011年には40型以上の100%にしたい」(同社の松本氏)と意気込む。

 LX3シリーズは,高画質を追求したモデル(図7)。3D対応のLV3シリーズと同様に,直下型のLEDバックライトを搭載する。2010年7月20日に発売する。画面寸法は,60型,52型,46型,40型の4機種。市場想定価格は,60型が55万円前後,52型が40万円前後,46型が32万円前後,40型が23万円前後である。

 XF3シリーズは,厚さが3.9cmと,薄型デザインを追及したモデル(図8)。パネルの側面に白色LEDを配置する「エッジライト型」のLEDバックライトを採用した。2010年7月1日に発売する。画面寸法は,52型,46型の2機種。市場想定価格は,52型が37万円前後,46型が29万円前後である。