東京地裁平成20年(ワ)第14858号判決文
東京地裁平成20年(ワ)第14858号判決文
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 シャープと韓国Samsung Electronics Co., Ltd.が世界数カ国で争っている液晶パネル関連の特許侵害訴訟は,日本では年明けから東京地方裁判所の判決が相次いで下り,両社がそれぞれ控訴していることがわかった。

 東京地裁は,これまでに一連の係争のうち3件の訴訟で判決を下している。2009年1月30日は,シャープが日本サムスンを提訴していた件でシャープ勝訴の判決を下した(平成20年(ワ)第14530号の判決:PDFTech-On!関連記事)。東京地裁は,Samsung社製の液晶モジュール「LTM300M1P01」「LTM190E4」「LTA400WT」がシャープの特許(第3872798号)を侵害しているとして,日本サムスンに対し,これらのモジュールを搭載した40型液晶テレビや30型液晶モニタなどの販売や輸出入の差し止めと在庫の廃棄を命じた。ただし,製造はSamsung社が行っているため,日本サムスンを被告としたこの訴訟では,これら製品の生産差し止めと半製品の廃棄は勝ち取れなかった。

 2009年2月27日には,Samsung社がシャープを提訴していた件でシャープ勝訴の判決が出た(平成20年(ワ)第14859号の判決:PDF)。Samsung社は同社の特許(第3976770号)をシャープの液晶テレビ「LC-32D10」が侵害していると主張したが,東京地裁はLC-32D10が搭載している液晶モジュールの製造方法は第3976770号の技術的範囲にないとして訴えを退けた。

 2009年3月6日には,やはりSamsung社がシャープを相手取って提起した訴訟で,今度はSamsung社勝訴の判決が下った(平成20年(ワ)第14858号の判決:PDFTech-On!関連記事)。東京地裁は,LC-32D10がSamsung社の特許(3625598号)を侵害しているとしてシャープに対し,侵害製品の生産や販売の差し止め,在庫の廃棄を命じた。

 シャープは2009年3月25日,Tech-On!の取材に対し,2月に判決が出た訴訟(第14859号)に関してSamsung社が,3月に判決が出た訴訟(第14858号)に関してシャープが,それぞれ知的財産高等裁判所に控訴したことを明らかにした。