米Microsoft Corp.の研究開発部門であるMicrosoft Research (MSR)は,2009年2月24日,「Microsoft Research TechFest 2009」(Tech-On!関連記事)というイベントを開催した。同社のChief Research and Strategy OfficerであるCraig Mundie氏は記者説明会において,従来型のマウスやキーボードに基づいたユーザー・インターフェース(UI)のコンセプトから早期に脱却することの重要性を力説した。「今後さらにコンピューティングの利用を拡大していくためには,ポイントとクリックという従来型の対話性モデルを越える必要がある」(同氏)。
実際,TechFestで披露した実演の多くは,マウスやキーボード以外のUI技術に関連するものが中心だった。なかでも大きな注目を集めたのは,「Interactions with an Omni-Directional Projector」というものである。Microsoft社のジェスチャーUIを採用するテーブル形パソコン「Microsoft Surface」(Tech-On!関連記事)と類似したものを,360度のプロジェクタを使って実現したもの。実演では,ユーザーが手のジェスチャーによってドーム状に表示された画像を操作した。
今回の実演において,MSRの研究者は標準の360度のプロジェクタに赤外線のカメラを追加した。この装置をパソコンと接続して利用している。プロジェクタは,ドーム状の画面にMicrosoft社の宇宙情報ソフトウエア「WorldWide Telescope」(Tech-On!関連記事)などの情報を表示した。例えば,ユーザーが両手や片手のジェスチャーによってWorldWide Telescopeが表示する銀河を広げたり,見たい星までに画面を引っ張ったりできる様子を示した。ソフトウエアを起動したりする際には,音声認識技術を利用していたため,実演はキーボードやマウスを利用せずに進めていた。