表示素子にDMDを使った「PK101」に続き,今度はLCOSを利用した「MPro110」の分解に着手する(分解その2)。PK101の場合と同じく,まずはLiイオン2次電池を筐体から電池を取り外し,筐体に止めてあるネジを外して筐体を開いた。電池にはメーカー名やロゴの記載は見当たらない。2次電池に詳しい部品メーカーの技術者は形状や容量などから,「国内メーカー製ではないか」と推測する(図1)。
筐体内部はPK101とほぼ同じで,光学モジュールとメイン基板で構成されている(図2)。光学モジュールには,表示素子であるLCOSやLED光源,光学部品などが組み込まれる。メイン基板にはLCOSの駆動用LSIや各種電子部品が搭載されている。
内部に配置された部品で特に目を引くのは放熱フィンである。携帯型音楽プレーヤー並みの筐体にしては大きいからだ。光源の白色LEDから発する熱を効率良く放熱するための工夫とみられる。さらに,フィンのそばには筐体に通気口を設けている。先に分解したPK101では,見られなかった対策である(分解その2)。金属筐体の外側にも放熱フィン状に溝を彫って表面積を拡大するなど,熱対策はPK101より念入りな印象だ(図3)。
メイン基板の中では,Liイオン2次電池の接続端子の処理が珍しい(図4)。端子をむき出しにしているのだが,「こんな端子は見たことない」(ある部品メーカーの技術者)という。一般に,携帯電話機では,端子を樹脂で固定した部品が採用されている。端子をむき出しにすることで,部品コストを抑える狙いがあるのではないかと,分解に立ち会った技術者は推測する。
続いて光学モジュールの分解に取り掛かる。
――次回に続く――