市場調査会社の富士キメラ総研は,液晶パネルやPDP,有機ELパネルなどのディスプレイ市場の調査結果を発表した。これによれば,ディスプレイ・デバイス12品目の世界市場規模は,2007年に出荷金額で前年比16%増の成長を遂げ,約12兆円に達したという。主力の液晶パネル市場は拡大したが,CRTやPDPは前年実績を大きく下回った。

 2008年は12品目合計で14兆円,2013年は15兆6000億円を見込んでいる。金額ベースで年率2ケタ成長を予測するのは電子ペーパー,有機EL,無機EL,LCOS(投射型)の4市場で,このうち1000億円以上の市場規模が見込めるのは有機ELのみという。主力の液晶パネルやPDPは,CRTという巨大な代替市場がなくなりつつあるため,今後は伸びが鈍化するとした。

 液晶パネルの2007年の世界市場規模は前年比25%増の10兆8000億円だった。2008年は2007年比で17%増の12兆6000億円になる見込み。一方,PDPの2007年の世界市場規模は数量では前年比21%増の1220万枚と伸びたが,価格が落ち込んだため,金額ベースでは同16%減の7410億円となった。2008年は出荷数量で27%伸び,金額でも3%増になると予測する。PDP出荷全体に占めるフルHD品の比率は20%に達する見込み。

 前年比の伸びが大きかったのは電子ペーパー市場。2007年の世界市場規模は数量ベースで前年の6倍以上となる953万枚,金額ベースでは4.4倍の127億円となった。用途別には携帯電話機向けが800万枚と数量ベースで全体の約90%を占めた。2007年は米Motorola, Inc.だけが採用していたが,2008年には日本でもカシオ日立モバイルコミュニケーション製端末の背面ディスプレイに採用された(Tech-On!関連記事1同2)。欧州でもオランダPolymer Vision Ltd.がメイン・ディスプレイに電子ペーパーを使った「Readius」を開発した(Tech-On!関連記事3)。

 2007年の電子ペーパー出荷金額比の最大区分は電子書籍向け。約70%を占めている。携帯電話機ほどの数量は期待できないが,ディスプレイが大きい分,単価が高い。日本ではコンテンツ不足などから浸透していないが,欧米では電子新聞や電子書籍,無線LANによるインターネット接続など機能が広がり,出荷が伸びているという。

 現状,電子ペーパーは電子書籍や携帯電話機といった小型機器向けを中心に市場が形成されているが,電子看板など大型用途も実証実験や試験導入などが盛んに行われている。2013年の電子ペーパーの市場規模は2877万枚(2007年比で約3倍),695億円(同5.2倍)になる見込み。