図1 「UQコミュニケーションズ」への社名変更を発表した代表取締役社長の田中孝司氏
図1 「UQコミュニケーションズ」への社名変更を発表した代表取締役社長の田中孝司氏
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 モバイルWiMAX技術を使った無線データ通信サービスの提供を計画するワイヤレスブロードバンド企画は,「UQコミュニケーションズ」への社名変更を発表した(図1)。併せて,160億円超の増資が完了したことや,今後の事業計画を説明した。

 UQコミュニケーションズへの社名変更は2008年3月1日付けで実施した。「普遍的かつ高品質(Universal Quality)なデータ通信インフラを提供する」といった意味を社名に込めたという。同社はKDDIなどが出資する事業企画会社( Tech-On!の関連記事1)で,総務省が2007年12月に「2.5GHz帯周波数を使用する特定基地局開設計画」を認定していた(Tech-On!の関連記事2)。

 設立時に8億5000万円だった同社の出資金は,同年2月28日に161億5000万円の増資が完了して合計170億円になった。出資比率は変わっていない。KDDIが32.26%,Intel Capital,JR東日本,京セラの3社がそれぞれ17.65%,大和証券グループ本社が9.8%,三菱東京UFJ銀行が5.0%である。経営陣も変更せず,代表取締役社長の田中孝司氏が引き続き同職に就く。

 UQコミュニケーションズは,2008年4月1日に社員を100人程度まで増やすことを明らかにした。「現在は30数人。増加分の多くはKDDIからの出向者だが,株主となっている企業からの出向者もいる。新規採用も始めており,2008年夏ころからは新規採用の社員も加わるだろう」(田中氏)。

基地局建設を前倒しで進める

 「2009年2月に試験サービスを開始し,半年後の夏に商用サービスを開始するという申請時に示した事業計画は変えていない。ただし,基地局の建設を前倒しで進める考えだ。詳細な事業計画の策定中であり具体的な数字は出せないが,2008年度に建設を予定していた数(1000局)よりも多く設置したい」(田中氏,図2)とする。併せて,2008年度の基地局やセンター設備の納入企業を公表した。屋外基地局は富士通と韓国Samsung Electronics Co., Ltd.の2社,屋内基地局はSamsung Electronics社,基地局を制御するゲートウエイ装置は日立製作所,コア・ネットワーク用の装置は伊藤忠テクノソリューションズがそれぞれ納入する。

 今回の発表でUQコミュニケーションズは,モバイルWiMAXを利用する端末の開発状況については明らかにしなかった。「端末の開発はまだまだこれからだ。最初はパソコン用の通信カードなどをターゲットとする。続いて,パソコンへの通信機能の埋め込みを進める。さらにUMPCやMIDと言われる小型デバイスでモバイルWiMAXを利用できるようにしていく」(田中氏)。

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図2 事業免許の申請時に同社が示したサービス開始までのスケジュール
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