6社とワイヤレスブロードバンド企画の代表取締役社長 田中孝司氏(左端)。
6社とワイヤレスブロードバンド企画の代表取締役社長 田中孝司氏(左端)。
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 KDDI,米Intel Corp.,JR東日本,京セラ,大和証券グループ本社,および三菱東京UFJ銀行の6社は2007年9月18日,モバイルWiMAX事業に関して会見し,6社共同でモバイルWiMAX事業を推進していくと正式に発表した(第一報の記事)。KDDIが2007年8月29日に設立した「ブロードバンドワイヤレス企画」という企画会社に5社が増資する格好である。

 総務省は現在,「2.5GHz帯の広帯域移動無線アクセスシステム事業免許」の免許申請を受け付け中。申請期限は2007年10月12日である。モバイルWiMAX事業の実現を目指すグループとしては,KDDIらは申請に向けて陣容を明らかにした最初のグループとなる。

 同陣営は,2007年9月27日時点で資本金を8億5000万円に引き上げる計画。内訳はKDDIが32.26%,Intel社の戦略投資部門であるIntel Capital,JR東日本,京セラの3社がそれぞれ17.65%,大和証券グループ本社が9.8%,三菱東京UFJ銀行が5.0%となる。これは,総務省が設けた「第3世代携帯電話(3G)サービスの通信事業者による1/3以上の出資を認めない」というルールを満たしている。ただし,通信事業者はKDDI1社で,事実上KDDIが主導する格好だ。

家電に組み込む

 ブロードバンドワイヤレス企画 代表取締役社長の田中孝司氏は,想定するビジネス・モデルの特徴として,(1)従来の携帯電話機でなく,パソコンや家電にデータ通信モジュールを組み込んだ形での全く新しいサービスを展開する,(2)ネットワークを借りてサービスを展開する「仮想移動体通信事業者(MVNO)」を積極的に受け入れる,(3)米Sprint Nextel社をはじめとする国際ローミングの実現と拡大,などを挙げた。「日本の端末が米国,アジア,欧州のどこでも使えるようにする」(田中氏)。

 一方で,事業全体に必要な費用については「総務省の認定審査の内容に関わることなので今は言えない」(田中氏)と明らかにしなかった。ただし,「実際の事業は8.5億円ではまったく足りないので,認定取得後に増資する」(田中氏)という。

4グループで2席のシートを取り合う

 現在,免許申請に動いているグループは,今回のKDDI陣営,ソフトバンクとイー・アクセス(関連記事),アッカ・ネットワークスとNTTドコモ(関連記事),ウィルコム,の4グループ。「次世代PHS」を推進するウィルコム以外はモバイルWiMAXを採用する方針である。この4グループが,2.5GHz帯で全国規模のサービスを展開できる事業者免許二つを争うことになる。

 ただし,KDDI陣営以外のモバイルWiMAX推進組はまだ参加メンバーが完全には固まっていない。ソフトバンクとイー・アクセスはどちらも3Gサービスの通信事業者であるため,少なくとももう1社,大口の出資者を加える必要がある。アッカとNTTドコモも,企画会社の資本金の目標額を720億円とするが,2社だけでは約490億円止まりであり,追加の出資者が必要になる。これらに対し,KDDI陣営は「今回のメンバーで免許を取得できれば,サービスもこのメンバーで提供していく」(ワイヤレスブロードバンド企画の田中氏)という。

 ウィルコムは他の3グループと異なり「どこかと共同で申請するということはない」(ウィルコム)と単独申請を予定する。