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HOMEエレクトロニクス機器 > 2008年の次世代DVD戦争を総括する(その3) BDのキーマン・小塚雅之氏が語る「勝因」

2008年の次世代DVD戦争を総括する(その3) BDのキーマン・小塚雅之氏が語る「勝因」

松下電器産業 小塚雅之氏

  • 浅川 直輝=日経エレクトロニクス
  • 2008/02/22 10:52
  • 1/1ページ
松下電器産業 蓄積デバイス事業戦略室 室長の小塚雅之氏
松下電器産業 蓄積デバイス事業戦略室 室長の小塚雅之氏
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 東芝がHD DVD事業から撤退することで,Blu-ray Discが事実上の次世代DVD統一規格になった。2008年以降,Blu-ray Discは本当にDVDを置き換える巨大産業に育つのか。同規格の普及戦略を語る上でキーマンと言える,松下電器産業 蓄積デバイス事業戦略室 室長の小塚雅之氏に話を聞いた。

(聞き手=浅川 直輝)

――今回,東芝がHD DVD事業の撤退に至り,Blu-ray Discが勝利した要因は何だったのでしょうか。2007年後半から今に至るまでの次世代DVD戦争を総括してください。

小塚氏 我々にとって,2007年の米国での年末商戦が決戦の場でした。これまで民生用プレーヤーではHD DVDの方が累計台数で多かったですが,2007年12月の累計では,Blu-ray Discプレーヤーが6:4で勝ちました。もちろん,2008年1月にWarner社がBlu-ray Disc陣営に入ってからは,Blu-ray Discプレーヤーの方が圧倒的に売れています。東芝はその後HD DVDプレーヤーを値下げしましたが,我々の優位は変わりませんでした。

 民生用プレーヤーの争いに加えてBlu-ray Discの勝利に貢献したのが,やはりプレイステーション3(PS3)です。Warner社はこれまで「PS3の台数は,規格争いには関係ない」と言っていましたが,これに対してソニーが応えたんでしょう。PS3にリモコンを付けたり,パッケージ・メディアを10枚付けたりと,Blu-ray DiscプレーヤーとしてのPS3の魅力をプロモーションしました。

 東芝の敗北を決定付けたのは,Black Fridayにおける「99米ドル」という値付けだったのではないでしょうか。あの値付けでは,誰もHD DVDプレーヤーに参入する気をなくします。HD DVD陣営にとって最後の希望が,中国メーカーの米国市場への参入だったはず。ですが,販売価格が99米ドルでは,東芝以外に誰も参入できるはずがありません。

――東芝の撤退を受けて,Blu-ray Disc機器の売れ行きには動きがありましたか。

小塚氏 Blu-ray Discプレーヤーは2007年年末に大量に売れてしまったこともあり,今はあまり動いていません。日本で売れているBlu-ray Discレコーダーは,年末に品薄になったことを受けて,2008年から大増産をかけたので,今ではかなりの数量が出ているはずです。特に松下電器産業のBlu-ray Discレコーダーは,需要の読み違えで極端に品不足になってしまい,失礼しました。

――Blu-ray Discが事実上の統一規格になったことで,2008年にはBlu-ray Discはどこまで普及すると考えていますか。

小塚氏 2008年に,BDプレーヤーは少なくとも北米で400~500万台は売れると考えています。さらに米映画会社は,Blu-ray Disc対応のパッケージ・メディアの売り上げを10億米ドルまで高めたいと考えているようです。一枚当たり20米ドルとして,枚数にして5000万枚以上。2007年の販売枚数が700万枚くらいでしたから,実に7~8倍を見込んでいるわけです。今後,映画会社の目標は,DVDからBlu-ray Discへの移行を促すことになります。映画会社は,規格が統一した今,本気でプロモーションをかけると言っていますよ。

 レコーダーが売れる日本では,Blu-ray Discレコーダーが150万台~200万台は売れるんじゃないでしょうか。欧州も含めれば,民生用のBlu-ray Discプレーヤー/レコーダーの販売台数は1000万台を超える可能性が高いんじゃないか,と個人的には思っています。

――インターネットを経由したネットワーク配信事業の台頭に,脅威を感じていますか。

小塚氏 「Blu-ray Discはネットワーク配信に負ける」なんて議論がありましたが,それは暴論というものです。我々が付き合っている映画会社の方たちは「(ブロードバンド環境が普及した)日本ならともかく,数百kビット/秒の環境が多い米国ではまだまだ無理」と言っていますよ。

 もちろん,Blu-ray Discのネットワーク・サービス規格「BD-Live」に対応したプレーヤーなら,擬似ストリーミング(プログレッシブ・ダウンロード)などでネットワーク配信を受けることは可能です。ですが,配信サーバへの投資やQoS確保の難しさを考えれば,現段階ではリアリティがある事業とは言えません。

 そもそも,ネットワーク配信とパッケージ・メディアは,映画会社にとって事業区分が異なります。映画会社は,まず劇場公開の事業で収入を得た後,DVDやBlu-ray Discといったホーム・ビデオ事業で売り上げを稼ぎます。この二つの事業で収入の大半を得た後に手がけるのが,ビデオ・オン・デマンド,ペイ・パー・ビュー,テレビ放送へのコンテンツ提供です。ネットワーク配信は,このうちビデオ・オン・デマンドに属する事業です。ネットワーク配信とパッケージ・メディアは,サービスの開始時期や顧客層が異なるわけです。我々が関わるホーム・ビデオ部門の人に「映画をまるごとダウンロードする」という事業にリアリティを感じていません。まあ今から7~8年後なら分かりませんが。

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小塚氏のインタビューの続きは,日経エレクトロニクス2008年3月10日号に掲載予定です

2008年の次世代DVD戦争を総括する(その1)(その2)

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