三菱電線工業は,近紫外光を発する窒化ガリウム(GaN)系発光ダイオード(LED)事業を2008年3月31日付で三菱化学に譲渡する。

 三菱電線は1996年より近紫外LEDを用いた白色LED照明の市場投入を目指し,開発を進めてきた(Tech-On!関連記事1)。現在は同社と子会社であるダイヤレッドの尼崎事業所にて,効率や輝度などの改善を進める一方,サンプル品の製造・出荷を始めた段階という。量産化にあたって,資金などの「体力面」(三菱電線 広報)から三菱電線グループ単体での本格参入は困難とみて提携先を探していた。三菱化学から全面譲受の申し入れがあったため,関連資産の全面譲渡を決めた。

 一方,三菱化学は白色LEDの市場規模が2010年に8000億円に達すると見込んで,白色LED向けの蛍光体やGaN基板の開発に取り組んできた(Tech-On!関連記事2同3)。蛍光体は2006年に量産化。GaN基板も2008年度に量産販売を始める予定である。今回の買収で近紫外LEDチップを製品系列に加え,白色LED部材の首位メーカーを目指す。

 三菱電線の近紫外LED事業に関する設備と棚卸資産の帳簿価額は5億6700万円。これに特許やノウハウといった知的財産権の対価などを加え,譲渡価額は15億円(税別)とする。事業譲受後,三菱化学はダイヤレッド尼崎事業所の関連設備を筑波事業所に移設する予定。なお,GaN系近紫外LED以外のLED関連事業については三菱電線で継続する。