村田製作所の2007年10月~12月期決算は四半期として売り上げ,利益ともに過去最高を更新した。売上高は前年同期比19.7%増の1745億6700万円,営業利益は同13.3%増の355億1700万円,純利益は同16.4%増の235億8100万円である。2007年8月に買収した米C&D Technologies, Inc.のPower Electronics事業部の売上高63億円が加算されたこともあり(Tech-On!関連記事),売り上げが伸びた。利益の伸び率は売り上げの伸び率を下回っており,これは平均販売単価の下落や,買収事業がまだ利益面で貢献できてないことなどによる。

 買収による増加分を除くと,売り上げの伸びが著しいのは主力のコンデンサ事業である。売上高は前年同期比19%増の672億円だった。1μF以上の大容量品や,0603サイズをはじめとする小型品などが売上高をそれぞれ30%前後,伸ばしたという。圧電製品事業の売り上げも同19%増の252億円と好調だ。この部門では携帯電話機向けの表面フィルタ,HDDやカー・エレクトロニクス向けの圧電センサが売り上げを大きく伸ばしている。モジュール製品事業は同59%増の243億円と大幅な増収だった。この部門には買収事業の売り上げが寄与しているが,その効果を除いても成長率は18%と高い。薄型テレビやプリンターなど向けの電源と携帯電話機向けの地上デジタル放送用チューナの販売が好調だった。

 買収した電源事業について村田製作所は,利益に貢献するのは2~3年後と予測している。C&D社の電源事業は欧米市場向けの標準電源で,主に日本国内市場向けのカスタム電源を手がけてきた村田製作所の電源事業とは補完関係にある。今後,これまでEMS(electronic manufacturing service)を用いてきた旧C&D社電源事業の生産を村田グループに移管したり,部材の調達を共通化したりすることでコストを抑えるとともに,互いの販路を利用することで売り上げを伸ばす考えという。

 2007年度(2007年4月~2008年3月)の業績予想に修正はなく,前年度比で増収増益を見込む。2008年度(2008年4月~2009年3月)については業績予想は明らかにしなかったものの「部品の需給バランスが大崩れすることはない」(取締役専務執行役員の藤田能孝氏)との見方を示した。携帯電話機やパソコンが前年比10%の販売台数増,薄型テレビが同30%増となり,部品需要をけん引すると予測する。加えて,最終製品1台当たりの内蔵部品数が増えていることが同社の業績に追い風になるとみている。2008年度に期待できる製品として村田製作所は,大容量コンデンサやSAWフィルタ,チップ・コイル,HDD向けのショック・センサなどを挙げた。