図1 インド音楽をモダンにしたような音楽に合わせて踊りを披露するブースも
図1 インド音楽をモダンにしたような音楽に合わせて踊りを披露するブースも (画像のクリックで拡大)

 【前編】で紹介したように,会場の内外では先進国のモーターショーでは,考えられないような光景が広がっていたが,建物の中に入ればそこは華やかなモーターショー。美しいコンパニオンの方々が笑顔を振りまいていた(コンパニオンの様子は最後のページへ)。また,あちこちでインド音楽と西欧音楽がミックスしたような旋律が流れていた(図1)。さらに,会場内ではインドのテレビクルーが多く入り,女性アナウンサーが実況中継などを行っていた(図2)。


図2 実況中継するインドの女子アナ
図2 実況中継するインドの女子アナ (画像のクリックで拡大)

 さて,筆者の最大の目的であった1ラークカー(10万ルピーカー)の発表会の様子はどうであったか。あるイギリスの新聞は,「どの程度の来場者が来るのか見込みを間違え,秩序なく(no organization),混沌とした船出(chaotic launch)であった」と手厳しく書いていたが,Tata Motors社としてもこれほどの記者が集まるとは予想外だったのであろう。記者だけではないのかも知れないが,ざっと2000人はくだらない人間が集まった。見たところ外国人記者はそれほど多くないと感じた(実際,当日夕方開かれた外国人記者向けの記者会見で集まった記者は50人程度だった)。インドにこれほど多くのメディアがあったのかと驚いた次第である。

 筆者は1時間前に会場に入ったのだが,その時点でもう大方席は埋まっていた。筆者はとなりの自動車メーカーのブースにあるベンチに腰掛けて開会を待った。開会5分前ほどだったろうか,入り口付近から怒号が聞こえた。あまりの人数の多さに入り口をスタッフが閉鎖したのを「入れろ!」と記者たちが叫んでいたのであった。結局,記者たちはスタッフを押しのけて会場に入ってきた。

 とにかく人に埋め尽くされて,1ラークカーが登場しても姿が見えない(図3)。Ratan Tata氏のスピーチもよく聞こえない。呆然としてしまったが,筆者も仕事である。とにかくカメラをもって人の波の中に飛び込んだ(図4)。もみくちゃにされつつ,写真をなんとか撮る(図5)。

図3 1ラークカーが登場した直後。うまく撮れていないが,膨大な数の報道陣がフラッシュをたいている
図3 1ラークカーが登場した直後。うまく撮れていないが,膨大な数の報道陣がフラッシュをたいている (画像のクリックで拡大)
図4 もみくちゃになって1ラークカーに近づく
図4 もみくちゃになって1ラークカーに近づく (画像のクリックで拡大)
図5 だんだん赤いものが見えてきた・・・
図5 だんだん赤いものが見えてきた・・・ (画像のクリックで拡大)

 次は,プレスリリースの取得である。別の建物で記者会見があり,そこで配るという。行ってみるとそこもぎっしり人で埋まって入り込む隙間もない。受付でプレスリリースを配布しているのだが,そこも長蛇の列である。列が崩れて訳がわからなくなっている。受付のスタッフは「列に並べ!」と叫ぶのだが,何人ものインド人記者が脇から入って,スタッフと掴み合いを演じて,リリースを持っていってしまう。1時間ほどかけてなんとかリリースを手に入れ(これがほとんど内容がなかったのだが・・・),急いでプレスセンターに戻り,第一報を書き,東京に送る。日本時間午後3時の発表で,ニュースがTech-On!に掲載されたのが午後7時22分だった。日本や欧米のモーターショーとは勝手が違う中で,そこそこ早いほうではなかったかと思う(そのときに書いたニュース)。(次のページへ