取材一つ,移動一つ,書類の受け渡し一つとっても,何をやるにもインドでは時間と労力がかかると思ったほうがよい。もう一つ日本人(他の外国人もそうかもしれないが)が困るのは食事である。もみくちゃになって取材するのでお腹が減るのだが,体のことを考えるとなかなか食べるものがない。会場内ではカレー(図6)やチャパティ,生ジュース(図7)を売っているが,日本人はお腹を壊すことが多い。かく言う筆者はこれらのカレーを食べてしまって,ついに3日目に猛烈な下痢に襲われた。30年の間に免疫は切れていたようだ。

図6 会場内のフードコートで販売されているカレーなど。インドでは朝昼晩,結局味付けはカレーであることが多い。美味しいのだが,食べ続けると多くの日本人はお腹をこわす
図6 会場内のフードコートで販売されているカレーなど。インドでは朝昼晩,結局味付けはカレーであることが多い。美味しいのだが,食べ続けると多くの日本人はお腹をこわす (画像のクリックで拡大)
図7 会場内で売られているチャパティ(左)とその場で果物を搾る生ジュース(右)。美味しいのだが,多くの日本人は一発でお腹をこわす
図7 会場内で売られているチャパティ(左)とその場で果物を搾る生ジュース(右)。美味しいのだが,多くの日本人は一発でお腹をこわす (画像のクリックで拡大)

 さて,帰りは【前編】でも書いたようにとてつもない渋滞で数kmの距離でも1時間以上かかってしまう。そこで,2日目からは地下鉄を使うことにした。地図を見て,乗り方をガイドブックで確認すればそれほど難しいことではない。ゲートを出て,タクシードライバーの執拗な誘いを振り切って10分も歩くと,駅が見えてくる(図8)。入り口は倉庫のようだ(図9)。ただし気をつけたいのは,窓口でトークン(図10)を買うのだが,夕方は長蛇の列で30分も待たされた。地下鉄は日本の技術によるものだという(図11)。

図8 地下鉄の駅。空き地はクルマの駐車で埋め尽くされていた
図8 地下鉄の駅。空き地はクルマの駐車で埋め尽くされていた (画像のクリックで拡大)
図9 地下鉄の入り口
図9 地下鉄の入り口 (画像のクリックで拡大)
図10 トークン(一回乗り)。料金は6ルピー(約18円,二つ目の駅までの料金)。プリペイドカードもある。夕方だったので買うのに30分程度かかった。割り込んでくる人や窓口付近で「私のも買ってくれ」とお金を渡そうとする人もいるが,多くは並んでいて秩序が保たれていた。女性の一団が「女性は並ばなくてもいいんだ」というようなことを叫んで割り込もうとしたが,並んでいた男性が「並べ!」と一喝していた。マナーは少しづつ浸透してきていると感じた
図10 トークン(一回乗り)。料金は6ルピー(約18円,二つ目の駅までの料金)。プリペイドカードもある。夕方だったので買うのに30分程度かかった。割り込んでくる人や窓口付近で「私のも買ってくれ」とお金を渡そうとする人もいるが,多くは並んでいて秩序が保たれていた。女性の一団が「女性は並ばなくてもいいんだ」というようなことを叫んで割り込もうとしたが,並んでいた男性が「並べ!」と一喝していた。マナーは少しづつ浸透してきていると感じた (画像のクリックで拡大)
図11 なかなか奇麗な地下鉄
図11 なかなか奇麗な地下鉄 (画像のクリックで拡大)

 さて,写真ではどうしても表現できないことがある。30年前と変わったもう一つの点は「埃っぽくなった」,ということである。昔はこれほどの埃にまみれていただろうか。街を歩くと靴が白くなるほどだ。ニューデリー駐在の方に聞くと,街を歩くと鼻の穴が真っ黒になるのだという。健康にも悪いに違いない。インドに数日いただけだったが,深刻な交通渋滞と埃っぽい空気に,インドが抱える課題が浮き彫りになっているような気がした。

 ここで「AUTO EXPO2008」のレポートは終わるが,まだ時間のある方は次のコンパニオンのページもご覧いただきたい。