松下電器産業 代表取締役社長の大坪文雄氏
松下電器産業 代表取締役社長の大坪文雄氏
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 「今後も37型以上は,PDPを軸に薄型テレビ市場を勝ち抜いていくという基本方針に変更はない」――。日立製作所とキヤノン,松下電器産業の3社で合意した液晶パネル事業の業務提携について開催した記者会見の席で,松下電器産業 代表取締役社長の大坪文雄氏は,このように語った( Tech-On!の関連記事1, Tech-On!の関連記事2)。

 松下電器は今回の提携の目的として,テレビ向け液晶パネルの安定した供給確保と,有機ELテレビの開発推進を挙げた。今後もあくまでPDPを中心に薄型テレビ事業を展開する方針だが,「市場ニーズは多様化している。液晶テレビの事業基盤を確立する必要があった。今後は必要に応じて液晶テレビの大型化も推進する」(大坪氏)と語った。同社は,37型の液晶テレビを既に販売している( Tech-On!の関連記事3)。有機ELについては,「技術的に液晶パネルと共通する部分は多い。今回の提携により,将来の有機ELテレビへの展開を視野に入れることが可能になった」(大坪氏)と液晶以外の狙いもアピールした。

 松下電器は将来的に,テレビ向け液晶パネルを製造するIPSアルファテクノロジへの出資比率を引き上げて株式の過半数を取得し,経営の主導権を握る予定だ。そして,自らが主導権を握り新たにテレビ向け液晶パネル工場の建設を検討するという。投資額や時期については,「詳細はまだ決まっていない。大枠としては,30型クラスの液晶パネルを効率的に製造できる第7世代や,第8世代の工場を考えている」(大坪氏)と述べるにとどまった。

「TMDへの出資は続ける」

 2008年3月末までに,松下電器は日立製作所の100%子会社である日立ディスプレイズの株式24.9%を取得する。日立ディスプレイズは中小型液晶パネルの開発・製造や有機ELパネルの開発を手掛ける。一方,松下電器は東芝と共同で,中小型液晶パネルを開発・製造する東芝松下ディスプレイテクノロジー(TMD)に出資している。日立ディスプレイズへ出資する目的について,「IPSアルファテクノロジの最大の株主が,日立ディスプレイズであったため」(大坪氏)とし,あくまでテレビ向け液晶パネルへの出資が目的であると強調した。松下電器は今後も,TMDへの出資を続けていくという。

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