「電子部品テクノロジ」サイトに掲載してきた数ある部品記事の中でも,LED関連の記事は上位にランクされる常連といえる。消費電力低減に直結する発光効率,用途拡大に関わる明るさなど,性能向上は依然として著しい。新しい情報が出るたびに,電子部品テクノロジで紹介してきたので,記事掲載頻度は高くなる。LEDの用途は広いので,読者のアクセス数も多い。2007年も数多くのLED関連記事を掲載してきた。記事ランキングのトップ10をみると,LED関連記事は第1位と第2位に入っている。第8位にもランクインしており,合計3件がトップ10に入った。

▼ 2007年「電子部品テクノロジ」記事ランキング

順位記事タイトル日付
1「広がる可能性が見えた」,LEDヘッドランプのレクサス搭載でトヨタ社長の渡辺氏05/17
2「高出力LEDで特徴が生きる」,GaN基板を採用した白色LEDについて開発者に聞く04/03
3ソニーがCMOSセンサの最新製造ラインを公開07/18
4【人とくるま展】デンソー,「LEXUS LS」シリーズに採用されたTFT液晶モニター付きメーターを出品05/24
5「世界初の無極性青紫半導体レーザ」,中村氏らが開発に成功01/31
6【COMPUTEX】フラッシュメモリーがHDDに取って代わる? SSDが相次ぎ登場06/07
7ソニーケミカル&インフォメーションデバイス,液晶の視認性と耐衝撃性を高める光学樹脂を量産へ04/11
8シャープがキセノン管に代わるLEDを試作,連続点灯可能に07/05
9松下電器,CCD不具合の発生メカニズムを解明02/01
10【3GSM】「採用先は60社を超える」,仏Varioptic社が液体レンズを出展02/15

(集計期間:2007年1月1日~12月16日)

「レクサス LS600h」に搭載されたLEDヘッドランプ
「レクサス LS600h」に搭載されたLEDヘッドランプ (画像のクリックで拡大)

 第1位の記事は,トヨタ自動車の最上級ハイブリッド車「レクサス LS600h」に搭載されたLEDヘッドランプを取り上げたもの。レクサス LS600hの発表会においてLEDヘッドランプに対するトヨタ自動車の狙いや期待を紹介した。数年前から自動車ショーに出展されるコンセプト・カーがこぞってLEDヘッドランプを使ってきており,「いつ実用化されるのか」が焦点になっていた。技術的にもLEDヘッドランプは興味深い。LEDヘッドランプに用いる白色LEDには極めて高い水準の性能が求められ,他の用途,例えば携帯電話機や液晶モニター,照明機器などと比較すると,光束だけでなく輝度や寿命,使用環境にも厳しい条件が突き付けられる。そのようなLEDヘッドランプが実用化したということは,白色LED開発において一つの重要な到達点に達したといえよう。

ソニーが公開した製造ライン(前工程ライン)
ソニーが公開した製造ライン(前工程ライン) (画像のクリックで拡大)

 LEDと同じく3件がランクインしたのが,撮像素子関連の記事である。最もアクセス数が多かったのが第3位に入った,ソニーが公開したCMOSセンサの最新製造ラインのレポート記事である。マイクロプロセサ「Cell」の生産設備を東芝に売却することが象徴するように,ソニーは半導体事業の転換を進めている。45nm世代以降の半導体を自社で製造することを止め,自前生産にこだわるのはCMOSセンサやCCDなど一部に絞る方針を打ち出す。この事業転換の中でCMOSセンサは増強を進める分野ということも,読者の興味を引き付けた要因といえよう。このほか,撮像素子関連ではCCD不具合についての記事にも注目が集まり,第9位に入っている。この記事は,松下電器産業が解析したCCD不具合のメカニズムを紹介している。

 2008年は,いったいどのような記事が人気を集めるのであろうか。予測するのは大変難しいが,LEDや撮像素子などの注目度は高い状態が続くと思われる。LEDは使う機器が多岐にわたり,かつ液晶テレビや液晶モニター,照明機器など新しい用途への拡大が続く。話題を記事で紹介する機会も多くなるだろう。撮像素子は,携帯電話機向けでは小型化,デジタル・カメラ向けでは多画素化,さらに自動車をはじめとするさまざまな機器がカメラを搭載する流れにあり,新たな取り組みを紹介できるとみている。