図1 今回試作した無極性の半導体レーザ
図1 今回試作した無極性の半導体レーザ
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図2 極性面と無極性面
図2 極性面と無極性面
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 米University of California,Santa Barbara校(UCSB)教授の中村修二氏を中心とする研究グループは,GaN結晶の無極性面を利用した青紫色半導体レーザを開発したと発表した(発表資料)。同研究グループによれば,GaN結晶の無極性面を利用した青紫色レーザの開発は世界初だという。

 既に同研究グループは,無極性面を利用した発光ダイオード(LED)を開発している(Tech-On!関連記事1)。「しきい値電流密度が低い無極性面の半導体レーザを開発した。現在,HD DVD装置やBlu-ray Disc装置などで利用されているc面(極性面)を利用した青紫色半導体レーザよりも,低消費電力で長寿命になる」(中村氏)と説明する。今回試作した無極性面青紫半導体レーザは,パルス発振で,しきい値電流密度は7.5kA/cm2,発振波長は405nmである(図1)。

 GaN系の青色LEDや青紫色レーザの市販品は,GaN結晶のc面と呼ばれる極性面を利用している。無極性面とは,極性面に対して法線方向の面である(図2)。極性面を利用する場合に比べて,発光効率が高まるなどの利点がある。無極性面を利用すれば,発光効率の低下の一因となるピエゾ電界を弱められるためだ。

 m面やa面といった無極性面を利用したLEDに関する研究は,中村氏を中心とした研究グループのほか,京都大学と日亜化学工業の研究グループ,ロームなどがLED素子を作成するなど活発化している(Tech-On!関連記事2Tech-On!関連記事3)。

 なお,今回の開発成果について研究グループは,2007年2月上旬にUCSBにおいて発光などの実演をする予定である。