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 ソニーは2007年11月27日,同社が提供中のウィジェット提供サービス「FLO:Q(フローク)」に,パソコンのデスクトップ上で利用する「デスクトップウィジェット」を提供するサービスを追加した。デスクトップウィジェットを実行する環境やウィジェットを管理する「FLO:Qウィジェットマネージャー」は,米Adobe Systems Inc.のアプリケーション実行環境であるAdobe Integrated Runtime(Adobe AIR)を利用して構築した。現在はAdobe AIRがβ版であるため,βサービスという位置付け。Adobe AIRが正式版になり次第,デスクトップウィジェットの提供を正式サービスにする予定だ。

 FLO:Qは,インターネット上にあるさまざまなテキストや画像,動画,音声といったコンテンツを,ユーザーが自由にカスタマイズして表示できるウィジェットを無料で提供するサービス。2006年10月から「αサービス」という扱いで,ブログなどのWebページ内で利用する「ブログウィジェット」を提供しており,既に5万人以上のユーザーが登録,利用している。今回,デスクトップウィジェットの提供と同時に「FLO:Qを正式サービスとして提供を始める」(ソニーコーポレートディベロップメント部 ネットメディア開発室 FLO:Qプロジェクト プロジェクトリーダーの竹下直孝氏)とする。ちなみにFLO:Qの名前の由来は「付録」である。

 デスクトップウィジェットを動作させるには,あらかじめAdobe AIRをインストールする必要がある。FLO:QのWebサイトでユーザー登録することで,表示するコンテンツを自分用にカスタマイズしたデスクトップウィジェット「My Widget(マイ・ウィジェット)」を作成できる。作成したMy Widgetは公開/非公開を設定でき,公開されたものは「FLO:Qer's Widget(フローカーズ・ウィジェット)」として他の人が利用できる。このほか,自由なデザインや機能を持つ「Plug-in Widget(プラグイン・ウィジェット)」もある。Plug-in Widgetとしては,動画再生アプリケーションやタイマなどを用意するほか,スポンサー企業などとタイアップして提供する。既に,味の素やJ-WAVE,ユニクロとそれぞれタイアップしたPlug-in Widgetを準備中であるという。

 FLO:Qウィジェットマネージャーは単にウィジェットを管理するだけでなく,「ユーザーが新しいウィジェットを探したり,インストールしたりする手間を省くための機能」(竹下氏)を盛り込んだ。具体的には,FLO:Qer's WidgetやPlug-in Widgetを,新着順や人気順で表示し,クリックするだけでインストールできるようにしている。FLO:Qer's WidgetやPlug-in Widgetは「.floq」という拡張子を持つファイルであり,メールなどでやり取りすることも可能だ。これら2種類のウィジェットはユーザー登録しなくても利用できる。

 Plug-in Widgetの実体は,AIR上で動作するFlashファイルである。ただし,FLO:Qのサーバーと連携して動作するため,Plug-in Widgetを作成するには,同社が提供するライブラリが必要になる。ライブラリは現在,ソニーに登録したクリエーターや企業に提供しているが,「ゆくゆくはオープンな形で提供したい」(竹下氏)とする。ブログウィジェットもFlashで実現されており,やはりFLO:Qのサーバーと連携して動作する。デスクトップウィジェットではブログウィジェットのFlashの一部を再利用している。

 ソニーは2007年3月に発表した液晶テレビ「BRAVIA J3000/J5000」シリーズで,ウィジェットの技術を応用した「アプリキャスト」機能を提供している(Tech-On!関連記事1)。任天堂のゲーム機「Wii」は2007年10月からウィジェット機能に対応しているし(Tech-On!関連記事2),KDDIは2007年12月から携帯電話向けにウィジェットの提供を始めると発表済みである(Tech-On!関連記事3)。こうしたパソコン以外の機器にFLO:Qサービスを対応させる可能性について竹下氏は,「いずれ目指す方向であるのは確かだが,現時点では機器の処理能力などの問題があり難しい」とする。