米Gartner, Inc.は,教育用途に向けた超低価格ノート・パソコン(ultra low-cost mobile PC)の出荷台数が,2012年末までに600万台を上回るとの見通しを発表した(発表資料)。予測通りになれば,新興市場の教育向けパソコンの出荷台数が40%増加することになる。パソコン・メーカーは現在,新興市場での成長の機会を探っており,それが教育向けの超低価格ノート・パソコンへの関心を高めているという。なお,Gartner社が定義する新興市場は,南米,東欧,中東,アフリカ,中国,インドネシア,マレーシア,タイ,フィリピン,ベトナムおよびその他のアジア・太平洋地域である。

 Gartner社は,教育向けの超低価格ノート・パソコンの出荷台数が,2008年には100万台近くに,2011年末までには500万台に達するとみる。ただし,2007年に出荷される製品は,有用性をテストするといった目的で使われる最初の出荷となるため,出荷台数が限られるとする。Gartner社によれば,「新興市場において,政府および教育機関での採用を狙うパソコン・メーカーは,自社ブランドの超低価格ノート・パソコンを,アジア・太平洋地域および南米で2008年半ばまでに発売しなければ,教育分野での最初の機会を逃すことになる」と分析する。

 現在,教育向けの超低価格ノート・パソコンには,米Intel Corp.が提唱する「Classmate PC」や,非営利団体米One Laptop per Child(OLPC)が推進するいわゆる「100ドル・パソコン」などがある(Tech-On!の関連記事1同2)。OLPCは,パソコンを使用できない環境の子供たちに低価格のノート・パソコンを提供することに焦点を当てている。一方,Intel社のClassmate PCはパソコンだけでなく,ネットワーク基盤や教員訓練,教育カリキュラムを含む教育環境を広く提供することを目指している。

 超低価格ノート・パソコン市場が大きく成長するかどうかは,政府の援助や資金提供,米Microsoft Corp.やIntel社,米Advanced Micro Devices,Inc.の援助,魅力的な価格,現地言語のソフトウエアおよびトレーニング,支援コストといった要因によるとしている。