OLPCが開発したXO laptop
OLPCが開発したXO laptop
[画像のクリックで拡大表示]
学校内ではメッシュ・ネットワークでつなぐ
学校内ではメッシュ・ネットワークでつなぐ
[画像のクリックで拡大表示]

 いわゆる「100ドル・パソコン」を推進する非営利団体のOne Laptop per Child(OLPC)は,2007 International CESの開催に合わせて,報道陣向けに説明会を開き,同パソコンが搭載するメッシュ・ネットワークを始めとする機能などについて説明した。

 OLPCは元米MIT Media LabのNicholas Negroponte氏が創設した。発展途上国におけるデジタル・デバイドを解消するために,現在より大幅に低価格なノート・パソコンを開発し,各国政府向けに販売する。価格の最終的な目標値を100米ドルに設定している。同パソコンの正式名称は「XO laptop」である。

 XO laptopの主な特徴は,通信インフラが整備されていない環境下でのインターネットへのアクセス手段としてメッシュ・ネットワークを採用した点にある。メッシュ・ネットワークは,無線通信経路を自律的に構築し,無線パケットを中継するマルチホップ通信機能を使う。学校間をWiMAXなどでネットワーク化してインターネットへの接続環境を用意すれば,あとは生徒が持つパソコン同士が自律的にネットワークを構築し,インターネットにアクセスできる仕組みだ。

 XO laptopは,メッシュ・ネットワークの標準規格「IEEE802.11s」(現在標準化作業中)に準拠した米Marvell社のチップセットを採用している。CPUがスリープ・モードの状態でも,他のパソコンにパケットを送信してメッシュ・ネットワークを構築するため,通常の無線LANよりも消費電力を大幅に低減できるという。XO laptopのバッテリー駆動時間は通常動作で23時間としている。

 もう一つの特徴は,日光が降り注ぐ屋外や電気が通っていない家屋の室内の両方で視認性に優れる「Dual Mode」液晶ディスプレイにある。台湾Chi Lin Technology社が開発した。OLPCは詳細を明かさなかったが,屋内ではバックライトを使ったカラー表示,屋外ではバックライトをオフにした反射型による白黒表示をするという。この二つのモードはパソコン上のボタンを押して簡単に切り替えられる。

 このディスプレイの消費電力は,バックライトがオン時で1W,オフ時で0.1~0.2Wと通常の液晶ディスプレイに比べて大幅に小さい。またコストも通常の液晶ディスプレイの1/3に抑えることができるとしている。

 XO laptopは2006年11月中旬に最初の1000台が製造され,次は2007年4月に3500台が製造される。これらのパソコンはナイジェリア,ルワンダ,タイ,ブラジル,アルゼンチンなどの学校に政府を通じて配布される。2007年半ばにはより大規模の出荷を開始する見通しだ。