ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の「プレイステーション・ポータブル(PSP)」の新型である「PSP-2000」の特徴は,何といってもその軽さにある。質量が189gと,旧型の「PSP-1000」より91g減らした(Tech-On!関連記事)。
旧型と比べ約2/3の軽量化に成功した要因は何か。日経エレクトロニクス分解班は,技術者の協力を得て早速PSP-2000の分解にかかった。
今回の分解では,新型のPSP-2000に加え,旧型であるPSP-1000を用意した。二つのPSPを同時並行に分解することで,軽量化のポイントを浮かび上がらせる。
まず,旧型であるPSP-1000を途中まで分解してみることにする。
「うーん,外れにくいなあ・・・」これまでに数々の携帯機器を分解してきた熟練の技術者の手が,ひんぱんに止まる。やや手こずりながら,オモテ面の筐体,アンテナ用フレキシブル基板,キー・パッドなどを外していった。液晶モジュールは頑丈な金属製のシャーシで固定されており,取り出すのに数分を要した。
さて,この時点でPSP-1000の分解はいったん中断。新型のPSP-2000の分解にかかる。
「これは分解しやすいですね」。
技術者の手がスムーズに動く。先にPSP-1000を分解していたことを差し引いても,PSP-2000は明らかに分解が簡単そうだ。「これなら,組み立ての難度は低いのではないのか。旧型よりも生産効率は高そうだ」。液晶モジュールも,今回は金属板などに固定されてはおらず,簡単に外すことができた。
「機構部品は結構変えたみたいだねえ・・・」,技術者はうなった。
PSP-1000では,強度を保つために頑丈な金属シャーシを液晶モジュールの下に敷いていた。これにより,ユーザーが筐体をネジるような動作をして液晶モジュールが変形・破損するのを防ぐと共に,筐体全体の剛性を高めている。ただし,この金属シャーシは23gと重い。PSP全体の質量を約8%を占めている。
これに対してPSP-2000は,液晶モジュールの下にあった金属シャーシを省略していた。
実は,新型のPSP-2000はオモテ面の筐体についても剛性が低下している。PSP-1000では二色成型によって表面に透明な樹脂層を形成していた。これに対しPSP-2000では,通常の単色成型で筐体を製造している。樹脂層が2層から1層になった分だけ厚みが減り,剛性が落ちている。
とすると,PSP-2000は他に大柄な金属シャーシを載せていない限り,ウラ面の樹脂筐体のみで剛性を確保していることになる。この仮説を検証するため,分解班はさらにPSPの解体を進めた・・・。