カシオ計算機が2007年8月31日に発表したソニー製の超高速撮像素子を搭載したデジタル・カメラ(Tech-On!関連記事1)の試作品に触れる機会があった。比較的大柄な筐体に光学12倍(35mm換算で35~420mm)のズームレンズを備える。ユーザーの反応を確かめるために,8月31日からドイツで行われた展示会「IFA」でガラスケースに入れた状態で展示した。

 この試作カメラはソニーが開発した660万画素の超高速CMOS撮像素子を搭載する(学会発表時の記事日経エレクトロニクスの詳報記事)。

 カシオは今回の試作カメラに,600万画素の画像を60枚/秒の速度で35枚まで連写する機能と,画面サイズがVGA(640×480ピクセル)で300フレーム/秒の動画を0.6秒間,撮影する機能を搭載した。「動画については画面サイズを落とせば,もっと早いフレーム速度にも対応できる。ただし製品化時にそうした機能を載せるかどうかはわからない」(カシオ計算機 広報)という。

 超高速CMOS撮像素子の能力を引き出すため,画像処理用のLSIを新たに開発した。「ビーク時には通常の約10倍のデータを処理する必要がある」(カシオ計算機 広報)ためだ。具体的な仕様は明らかにしないが,現在使っているLSIと比較すると,動作周波数の向上,LSI内部のバス幅の拡大,データ処理回路自体の高速化といった改良を加えたとする。超高速モードを利用した際の35枚,0.6秒という制限は主にバッファ・メモリーの容量によるという。

 カシオは今回の試作機の公開によって「広くユーザーの声を集めたい」(カシオ計算機)とする。同社は今回のCMOS撮像素子がもたらす技術革新を「デジタル・カメラの姿を大きく変える」と位置づけているが,具体的な活用法にまだ迷いがあるという。広くユーザーからの声を集めることで,「ポテンシャルを最大限に生かした形で商品化したい」(同社)とする。

この記事を中国語で読む



動画
「300フレーム/秒動画のサンプル映像(カシオ計算機提供)」(約5秒)

(写真をクリックするとビデオが再生されます)