「今回のCMOSセンサが高速に吐き出す膨大な画像データを,どうやってユーザーの喜びに結び付けるか。デジタル・カメラを作る前提を考え直さないといけないかもしれない」(ある国内カメラ・メーカーの技術者)。

 2006年2月8日,「IEEE International Solid-State Circuits Conference(ISSCC 2006)」でソニーが発表したCMOSセンサが,カメラ関連技術者に衝撃を与えた。同社が明らかにしたのは,640万画素の1フレームを1秒間で60回出力する試作品[講演番号:27.1]と,276万画素の1フレームを1秒間に180回出力する試作品[講演番号:27.5]である。

 これらがカメラ関連技術者を驚かせた理由は,まず「画素データの出力速度がとんでもなく速い」(ある国内撮像素子メーカーの技術者)こと。300万~600万画素の既存の民生用CCDと比べると,実に20倍~60倍高速である。デジタル・シネマの4Kモードと比べても,講演番号27.1の試作品は1.5倍,同27.5のものは2倍のデータ出力速度を実現している。「CMOSセンサがここまでの仕様を実現するには正直,あと3年かかると思っていた」(前出の撮像素子メーカーの技術者)。