iPhoneを購入したわれわれの目的の一つは,設計思想を探るためにiPhoneを分解することである(NE分解班の軌跡)。シリコンバレーで勤務する日本企業の技術者数人の協力を仰いで,iPhoneの分解に着手した。
技術者たちが最初に取り外しにかかったのは,背面の下部にある黒い樹脂製の筐体部分である。背面部分の大半を占める,アルミ製と見られる銀色の筐体との間に工具を差し込んでいった(図1)。
図1 背面の下部にある黒いカバーを外しにかかる(画像をクリックすると高解像度の画像データを開きます) |
数分の格闘の末,黒いカバーが外れた(図2)。中から顔を見せたのは絶縁性のフイルムで貼り付けられたアンテナ部である。2系統のアンテナが存在するようだ。フィルムには「APPLE」と印刷されていることが分かる。
図2 アンテナが顔を出す(画像をクリックすると高解像度の画像データを開きます) |
さらに技術者たちは,裏ぶたを取り外しにかかった。数本のねじを取り外したものの,かなり強固にはめ合わされているのか,なかなか外れない。裏ぶたと,光沢のある銀色であるオモテ面の外枠との間に,少しずつ工具を差し込んでいく(図3)。
図3 裏ぶたを取り外す(画像をクリックすると高解像度の画像データを開きます) |
ついに裏ぶたが外れた。裏ぶたにはイヤホン・ジャック,振動させるためのモータなどが実装されており,フレキシブル基板で本体側のメイン基板に接続していた。本体側で最初に目を引くのは,面積の1/3以上を占める2次電池である(図4)。筐体の上部には,シールドで覆われたメイン基板の存在が確認できる。
図4 巨大な2次電池が目を引く。裏ぶた(右)に実装されている部品と,本体側(左)のメイン基板は,フレキシブル基板で接続されている(画像をクリックすると高解像度の画像データを開きます) |
◆【分解】メイン基板は2枚重ね,隠れていたのはリンゴ印のLSIにつづく