iPhoneの裏ぶたを取り外した技術者たち(Tech-On!の関連記事)は,続いてメイン基板および2次電池の取り外しにとりかかった。基板を固定しているネジを外し,2次電池と基板を持ち上げるようにして本体から取り外した(図1)。


図1 メイン基板と2次電池。この写真の上面が,ディスプレイ側(表面)に向く方向で配置されていた(画像をクリックすると高解像度の画像データを開きます)

 電池は,ポリマ型のLiイオン2次電池である。「+3.7V LC_」といった文字が書かれているが,そのほかは6桁の数字が3個書いてある程度で,電流容量などの仕様は一見したところ判別できない(図2)。


図2 ポリマ型のLiイオン2次電池(画像をクリックすると高解像度の画像データを開きます)

 メイン基板は,両面実装のプリント基板を2枚重ねた構成になっているようだ。片面には,SIMカードを挿入するためのスロットを備えており,これが大きな場所を占めている。この基板と,ディスプレイ・モジュールなどの他の基板や部品との接続には,フレキシブル基板が多く使われている(図3)。そのほとんどに「APPLE」と書いてあり,同社のこだわりが垣間見える。


図3 フレキシブル基板を多用(画像をクリックすると高解像度の画像データを開きます)

 メイン基板と2次電池は,赤,白,黒の3本のケーブルで接続している。調べてみたところ,はんだで直接接続しているようだ。「2次電池を交換する場合はどうするんだろうか?」。技術者たちから疑問の声が上がった。電池の交換はあまり考慮していないようだ。

 「感電しないためにも,この配線は切るしかない。これを切ったらもう戻れませんよ」。もったいない気はしたものの,意を決して分解作業を続けた。


図4 2枚の基板を分離させる

 メイン基板を覆っていたシールドを取り外し,2枚の基板の間に工具を差し込むと,簡単に「パカッ」と外れた(図4)。基板と基板の間は1個のコネクタだけでつながっていたようだ。両面実装の2枚の基板の全貌が見えてきた(図5)。重なっていた部分の中から,Apple社のロゴマークが入った,約14mm角のパッケージのLSIが姿を現した。「ARM」という文字が確認できる。


図5 2枚の基板。左側の基板の上に右側の基板が載るような状態で配置されていた(画像をクリックすると高解像度の画像データを開きます)