JPEGフォーマットを扱うすべての機器に適用できるとされる,いわゆる「JPEG特許」を保有する米Forgent Networks, Inc.は,JPEG特許に関するすべての訴訟で和解に達したと発表した(ニュース・リリース)。JPEG特許とは,画像圧縮で一般的に用いられる符号化方式の一つである「2次元ランレングス符号化」に関する特許で,米国特許番号が4,698,672であることから「672特許」とも呼ばれる。「我々はこの結果に満足している。672特許は,最終的に1億1000万米ドル以上を稼いでくれた。我々は今後,746特許*1に関する特許訴訟と我々のソフトウエア・ビジネスに注力する」(同社 chairman兼CEOのRichard Snyder氏)。

*1 録画中に再生できるビデオ・システムに関する特許。米国特許番号6,285,746号。

 Forgent社は「JPEG符号化を用いる機器は同特許に抵触する」として,2002年からデジタル・カメラ・メーカーをはじめとする主要機器メーカーにライセンス料の支払いを求めていた。既にソニーが1620万米ドル,三洋電機が1500万米ドルのライセンス料をForgent社に支払っている。さらに2004年4月には,Forgent社は機器メーカー31社に対して特許料の支払いを求める訴訟を起こしていた(Tech-On!関連記事1)。

 今回の訴訟取り下げについて,「JPEG特許は無効だ」と主張していた非営利組織の米Public Patent Foundation(PUBPAT)は,「Forgent社は訴訟を取り下げたことで,672特許にはJPEGフォーマットに対する有効な請求項がないことを事実上認めた」(PUBPAT Executive DirectorのDan Ravicher氏)として完全勝利を宣言した。PUTPATは,Forgent社が持つ特許の有効性を問う再審査を米特許商標庁に請求(Tech-On!関連記事2本誌関連記事),この結果,米特許商標庁は2006年5月にJPEG特許の請求項の一部を無効とする判断を示していた。Forgent社が訴訟を取り下げた背景に,この米特許商標庁が下した判断があるのは間違いなさそうだ。