総務省は2005年10月4日,「高速電力線搬送通信に関する研究会(第10回)」を開催した。座長である東北大学教授の杉浦 行氏が前回の研究会で提出した案に大きな変更は加えられず,今回で研究会は閉会した。総務省は研究会の結論となった座長案に対して,近くパブリック・コメントの受け付けを開始する。

 9月26日に開かれた同研究会(第9回)で提出された座長案は「宅内電力線ネットワークの平衡度(LCL)が16dBの際に,電力線通信(PLC)モデムのコモン・モード電流を準ピーク値で30dBμA以下にする」,というもの(Tech-On!の関連記事)。「この基準では,海外メーカー製のLSIやモジュールを使うPLCモデムは全滅」(研究会に参加したある研究者)という一方で,松下電器産業のように「なんとかクリアできる」(同社)と,海外でサンプル出荷していたPLCモジュールを2005年12月から国内向けに量産することを決めたメーカーもある(Tech-On!の関連記事)。

 総務省がこうした技術を審議する際は,情報通信審議会に諮ってから,パブリック・コメントを募るパターンが多いが,今回は「座長の意向により,パブリック・コメントを先に募ることにした」(総務省)。その後,情報通信審議会に諮る,という順序になった。