図1 メイン・ボードが2つに分かれていてフレキシブル基板で接続されている
図1 メイン・ボードが2つに分かれていてフレキシブル基板で接続されている
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図2 筐体をこじってメイン・ボードをはがす
図2 筐体をこじってメイン・ボードをはがす
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図3 メイン・ボードのオモテ面。中心部にあるのがARMコアを搭載したマイクロプロセサである
図3 メイン・ボードのオモテ面。中心部にあるのがARMコアを搭載したマイクロプロセサである
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 「何でメイン・ボードが2つに分かれているんだ」

 ゲームボーイ ミクロのメイン・ボードは2つに分かれており,フレキシブル基板が両者をつないでいる(図1)。ゲーム機に詳しい技術者の一人は,この構造を見てうなった。

 「なるほど,これは携帯型ゲーム機ならではの工夫だろう」
 
 このフレキシブル基板は,筐体のねじれを吸収するためのものでは,と技術者はみる。携帯型ゲーム機でゲームをするときには,通常両手で筐体を持つ。このため,ゲーム中に筐体をねじるような強い力がかかることがある。しかも,左右に操作ボタンのパッドもあり,そこが強く押される。このときメイン・ボードが1枚だと,メイン・ボードが同時にねじれ,LSIとボードをつないでいるハンダを引きちぎってしまう恐れがある。メイン・ボードを2枚に分割すれば,フレキシブル基板によってメイン・ボードの変形を大幅に軽減できるというわけだ。

 次に,LSIを載せているオモテ面を見ようと,メイン・ボードを筐体から外しにかかった。しかし,これがなかなか外れない(図2)。

 「何か爪で引っかかっているのかな」
 「まるで,箱根の組み木細工みたいだ」

 そこで技術者が筐体を強くこじると,メイン・ボードと液晶パネルがそろって外れた。メイン・ボードのオモテ面が目に飛び込んできた(図3)。

 「なるほど,これなら1万2000円も納得がいく」

 技術者は大きくうなずいた。メイン・ボードに載っていたLSIは,大きなものが2つ,小さなものが1つと,極めてシンプルな構成に仕上がっていた。


(日経エレクトロニクスは,エレクトロニクス技術者の分析を交えたゲームボーイ ミクロに関する記事を2005年9月26日号に掲載する予定です)


番外編:Tech-Off!分解した「ゲームボーイ ミクロ」を組み立てました