「何でメイン・ボードが2つに分かれているんだ」
ゲームボーイ ミクロのメイン・ボードは2つに分かれており,フレキシブル基板が両者をつないでいる(図1)。ゲーム機に詳しい技術者の一人は,この構造を見てうなった。
「なるほど,これは携帯型ゲーム機ならではの工夫だろう」
このフレキシブル基板は,筐体のねじれを吸収するためのものでは,と技術者はみる。携帯型ゲーム機でゲームをするときには,通常両手で筐体を持つ。このため,ゲーム中に筐体をねじるような強い力がかかることがある。しかも,左右に操作ボタンのパッドもあり,そこが強く押される。このときメイン・ボードが1枚だと,メイン・ボードが同時にねじれ,LSIとボードをつないでいるハンダを引きちぎってしまう恐れがある。メイン・ボードを2枚に分割すれば,フレキシブル基板によってメイン・ボードの変形を大幅に軽減できるというわけだ。
次に,LSIを載せているオモテ面を見ようと,メイン・ボードを筐体から外しにかかった。しかし,これがなかなか外れない(図2)。
「何か爪で引っかかっているのかな」
「まるで,箱根の組み木細工みたいだ」
そこで技術者が筐体を強くこじると,メイン・ボードと液晶パネルがそろって外れた。メイン・ボードのオモテ面が目に飛び込んできた(図3)。
「なるほど,これなら1万2000円も納得がいく」
技術者は大きくうなずいた。メイン・ボードに載っていたLSIは,大きなものが2つ,小さなものが1つと,極めてシンプルな構成に仕上がっていた。
(日経エレクトロニクスは,エレクトロニクス技術者の分析を交えたゲームボーイ ミクロに関する記事を2005年9月26日号に掲載する予定です)
【番外編:Tech-Off!】分解した「ゲームボーイ ミクロ」を組み立てました