米Apple Computer,Inc.の「iPod nano」と任天堂の「ゲームボーイ ミクロ」。携帯型音楽プレーヤの巨人と,携帯型ゲーム機の雄が,2005年9月に相次いで新製品を発売した。いずれも従来機種と比べ,機能を保ちながら大幅に小型化した。金属製の筐体を使うなど外観に気を配った点も共通する。早くも大きな反響を呼んでいることも同じだ。

 ただし,一度筐体を開けてみると,両者の設計が相反する思想に基づくことが分かる。iPod nanoは開発期間の短縮,ゲームボーイ ミクロは部品コストの削減を主眼に置いたようだ。

 本誌は,ソニー・コンピュータエンタテインメントの元CTOで,現在は自らの会社,Blue Shift TechnologyでR&Dコンサルタントを務める岡本伸一氏と,国内大手携帯電話機メーカーの設計責任者に協力を得て,2つの機器を分解した。そこからうかがい知れたのは,おのおのの市場で「独り勝ち」した企業の,勝ち続けを目指したモノづくりの姿勢である。