無線通信技術に関する世界最大級の展示会「CTIA Wireless 2007」が2007年3月27~29日,米国フロリダ州で開催された。今回は,2~3年後の実用化を狙う,伝送速度が数十Mビット/秒と非常に高速な,携帯端末向け無線通信システムの実演が多数披露された。具体的には,無線LANから派生した技術といえる「モバイルWiMAX」と,W-CDMAの後継技術である「LTE(long term evolution)」,さらに「Ultra Mobile Broadband(CDMA2000 1x EV-DO Revision C)」(以下,UMB)の3種類である。

 3種類の高速無線システムはデータ伝送速度や変調方式で似通っているものの,目指す用途に若干の違いがある。無線LANの延長線上にあるモバイルWiMAXは,WWWサイトの閲覧や電子メールなど,遅延時間がそれほど問題でないデータ通信向けを志向する。LTEは音声やビデオ会議など,遅延時間の短さやリアルタイム性が重要なサービス向けである。UMBは両者の中間的な位置付けで開発されている。このため,特にモバイルWiMAXと他の2方式は直接競合せずに併用される可能性がある。