「燃料電池は,いよいよここまで来た」(韓国Samsung Advanced Institute of Technology(SAIT),Energy Laboratory,Vice PresidentのHyuk Chang氏)。

 ノート・パソコンや携帯電話機の駆動源に向けて開発が進むダイレクト・メタノール型燃料電池(DMFC)。日本の機器メーカーの開発が活発だが,韓国Samsungグループも連携して開発に当たっている。同グループの先端研究部門であるSAITは,2006年4月初頭に米国ワシントンDCで開催されたセミナー「Small Fuel Cells 2006」で,DMFCの開発状況を明らかにするとともに,携帯型充電器とPDA一体型燃料電池の試作機を初公開した。

 このセミナーは携帯機器向け燃料電池の開発成果が数多く出ることで有名だが,ここ数年はDMFC関連の話はめっきり少なくなり,次世代となるボロハイドライド燃料利用型や小型固体酸化物型(SOFC)などに話題が移っていた。DMFC開発メーカーが発売を間近に控え,表舞台に登場しなくなったためだ。今回もDMFCの話題は少なかったが,唯一SAITだけが試作機を初公開した上に,材料の詳細にまで言及し,参加者に実用化時期が近いことを十分に感じさせる内容となった。