これまで「2006年春」としてきたプレイステーション 3(PS3)の発売時期を,ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は2006年11月初旬に延期した。その理由は何か——。

 理由の1つは,次世代光ディスク向けコンテンツ保護技術「AACS」のライセンス供与が遅れたことだ。AACSの最終仕様が固まったのは2005年12月上旬。ライセンス供与は,本来なら2005年12月末には始まる予定だった。

 ところが,ここで思いがけない横やりが入る。Blu-ray DiscがAACSに加えて独自に採用するコンテンツ保護技術「BD+」について,米Microsoft Corp.が「セキュリティ・ホールになり得る」との懸念を表明したのである。Blu-ray Disc陣営が,BD+の技術を機密保持契約の下で開示するなど説得に当たった結果,最終的にMicrosoft社が主張を取り下げたのが2006年2月。さらに,万が一BD+がAACSのセキュリティに穴を開けた場合の規定を含め,BD+のライセンス条件の策定にさらに1カ月を要した。