両面ガラスの太陽光パネルによる信頼性の向上について、中国の大手太陽光パネルメーカーの日本法人であるトリナ・ソーラー・ジャパン(東京都港区)が開催した発表会の内容から紹介している。従来の樹脂製バックシートを使った太陽光パネルにおける信頼性の課題を、2枚のガラスで挟み込んだ密閉構造によって解消する(関連ニュースメガソーラー探訪の関連記事)。

 両面ガラスの太陽光パネルは、今後のメガソーラー(大規模太陽光発電所)の信頼性の向上を可能にする技術として注目されている。従来の樹脂製バックシートによる封止の課題とされる、長期信頼性が向上する可能性もある。

 従来の樹脂製バックシートを使った太陽光パネルの課題の一つに、太陽電池セル(発電素子)のマイクロクラック(微小な割れ)の発生がある(図1)。

図1●フレームが中央部への圧力の集中を招く
150mmたわんだ際の圧力の違い(出所:トリナ・ソーラー・ジャパン)
[画像のクリックで拡大表示]

 マイクロクラックは、太陽光パネルの輸送時や施工における不適切な取り扱いのほか、設置後の強風や積雪などによって、パネルに外部から何らかの圧力が加わった場合に、発生する恐れがある。

 従来の樹脂製バックシートを使った太陽光パネルは、アルミ製のフレームを備えている。フレームに近い、パネルの外側の部分は、外部からの圧力に対して強い。一方、中央付近は弱い。

 強い風が吹き付けた場合、風による圧力が中央部に集中することで、セル内にマイクロクラックが発生しやすくなっている。

 外部からの圧力が一定以上に達すると、急に割れやすくなる。太陽光パネルのたわみが150mmに達した場合に、マイクロクラックが生じ始めている(図1左)。