図1●両面ガラスの太陽光パネルと設置方法を発表する、トリナ・ソーラー・ジャパンの営業技術サポート部の橋本仁志マネジャー(出所:日経BP)
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図2●2枚のガラスで密閉するため、従来の樹脂製のバックシートによる封止の課題だった長期信頼性を向上できる(出所:トリナ・ソーラー・ジャパン)
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図3●両面ガラス品の劣化率は1年あたり0.5%以内、25年間で85.5%以内、30年間では83%以内を保証(出所:トリナ・ソーラー・ジャパン)
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 中国の大手太陽光パネルメーカーの日本法人であるトリナ・ソーラー・ジャパン(東京都港区)は5月19日、両面ガラスの太陽光パネル「DUOMAX」の新製品「PEG5」に関するセミナーを都内で開催した(図1)。2015年7月に量産を開始する予定。

 両面ガラスの太陽光パネルは、今後のメガソーラー(大規模太陽光発電所)の低コスト化、高出力化、信頼性の向上を可能にする技術の一つとして注目されている。

 2枚のガラスで挟み込んだ密閉構造にするため、従来のパネルにおいて、樹脂製のバックシートによる封止の課題だった長期信頼性を向上できる上、アルミフレームが不要になる(図2)。

 トリナ・ソーラーでは、長期信頼性の利点を前面に打ち出して、両面ガラスの太陽光パネルを拡販している(関連ニュース1同2同3)。

 従来の樹脂製バックシートを使ったパネルに比べて、経年劣化による出力の低下が少ない上、樹脂製バックシート品より5年間長い30年間の出力保証を付けるなど、買取価格の低下や、連系費用の増加といった開発環境の中でも、メガソーラーの事業性を長期的に向上できる利点を打ち出して拡販する。

 従来の樹脂製バックシート品の劣化率は1年あたり0.7%以内とし、25年間で80%以内を保証していた。これに対して、両面ガラス品の劣化率は1年あたり0.5%以内とし、25年の時点で85.5%以内を保証する。30年間では83%以内を保証する(図3)。

 劣化率が低くなるのは、従来の樹脂製バックシートのパネルにおいて、劣化を引き起こすトラブルとして知られる、PID(Potential Induced Degradation)、スネイルトレイル、気泡などを抑制できるためである。

 いずれも、樹脂製バックシートが水分を浸透させてしまうことが、一つの要因となっている。両面をガラスで密封していることで、この要因をなくすことができる。