「広色域化」がディスプレー技術の新たな進化軸として急浮上してきた。ディスプレー各社が目標としているのが、8Kやスーパーハイビジョン(SHV)に対応する色域である。中国・深センで2015年4月9日から3日間にわたって開催された「第3回中国電子信息博覧会(CITE 2015)」でも、多くのパネルメーカーやセットメーカーが、大画面・高精細化の競争とともに(関連記事1)、広色域化を競い合っていた。

 1年前の状況(関連記事2)と比較すると、広色域化の方法に対する中国のパネルメーカーおよびセットメーカーの各社の戦略が鮮明に見えてくる。

有機EL、量子ドット、高演色LEDが三つどもえの戦い

 従来型の液晶ディスプレーは、NTSC比で72%程度の色域を持つ。これに対して有機ELは、NTSC比100%の鮮やかな色を表現できる技術として期待を集めてきた。この「NTSC」は60年前に定められたアナログ放送の規格である。現在は、「Rec.ITU-R BT.2020」の規格で規定されているSHVの映像パラメーターへの対応の検討も進んでおり、NTSC比100%を大きく超える色域をいかに実現するかが、注目の的になっている。この取り組みに関して、今回の展示会CITE 2015では、パネルメーカー、セットメーカーが各社各様の内容をアピールした。