図1◎米国、欧州、日本の天然ガス価格推移。国際通貨基金調べ
図1◎米国、欧州、日本の天然ガス価格推移。国際通貨基金調べ
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図2◎シェールの外観。岩石中の小さな空隙に天然ガスや原油をため込んでいる。
図2◎シェールの外観。岩石中の小さな空隙に天然ガスや原油をため込んでいる。
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 ここ数年、米国でシェールガスやシェールオイルの生産が本格化し、特に米国では天然ガスの価格が劇的に下がっている(図1)。しかし、日本はその蚊帳の外に置かれ、相変わらず高い天然ガスの購入を強いられてきた。

 2013年はこの状況に変化の兆しが見えた。同年5月に米国政府の認可が下りたことから、米国テキサス州フリーポートで産出するシェールガスの日本への輸出が2017年に始まる見通しとなった。フリーポート以外にも2つの対日輸出プロジェクトが認可されるとみられており、その他カナダによる輸出も本格化する見込みだ。日本の2012年度の天然ガス輸入額は約6兆2000億円。シェールガスによって天然ガスの購入価格が2割下がれば約1兆25000億円を削減できるので、エネルギコストの低下が期待できる。

 シェールガス/オイルとは、シェール層のすき間にたまっている天然ガス/原油のこと(Tech-On!関連記事)。シェールは層状でもろい堆積岩で、岩石中のごく小さな空隙に天然ガスや原油をため込んでいる(図2)。以前は、それを低コストで取り出す技術がなかった。ところが1980年代から2000年代前半の技術革新によって、まずガスを効率的に取り出せるようになった(Tech-On!関連記事)。これでシェールガス/オイルの採掘に向けての動きが一気に加速した。