半導体メジャーの一角を占める韓国Samsung Electronics社が、複合的な苦境の中にいる。全社の売上の中で大きな割合を占めるスマートフォン事業が変調し、売上や利益が目に見えて減ってきた。スマホ向け半導体を見ても、Apple社の「iPhone」向け次期プロセッサーの製造がTSMCに変わるなど、不安な要素がある。そもそも、こうした大口顧客向けの半導体製造にIntel社が参入するなど、ファウンドリー事業がレッドオーシャンになる様相も見えている。そこに、ウォン高とグループトップに君臨する李健煕会長の入院が重なった。客観的に見て、同社は試練の時を迎えているように見える。

 現在の半導体業界におけるSamsung社は、技術開発と製品供給の両面で、まぎれもないトップランナーである。また、日本の製造装置メーカー、材料メーカーにとっては、重要な顧客でもある。同社の先行きには、無関心ではいられない。
 
 そこで、「トップランナーSamsungの行方」をテーマに、同社の半導体部門に限定して、以下の3点について論じて頂いた。

【質問1】現在のSamsung社を包む様々な苦境は、技術開発、設備投資、製品供給などのトップランナーとしての同社の役割にどのような影響を及ぼすのか?

【質問2】日本の製造装置・材料メーカーには、どのような影響を及ぼす可能性があるのか?

【質問3】今後のSamsung社が、現在の苦境を脱するためには、どのような方策を講じる必要があるのか?

 回答者は以下の通り。

和田木哲哉氏
野村證券 グローバル・リサーチ本部 エクイティ・リサーチ部 エレクトロニクス・チーム マネージング・ディレクター
「真のトップランナーになれるのか、今試されている」参照

田口眞男氏
慶應義塾大学 特任教授
「過剰反応は禁物、スマホ関連の不振はメモリーでカバーできる」参照

服部毅氏
服部コンサルティング インターナショナル 代表
「半導体部門が復権、新事業分野とファウンドリー大口顧客確保に注力」参照

石野雅彦氏
アドバンスト・リサーチ・ジャパン マネージング・ディレクター シニア・アナリスト
「半導体では依然として強大な存在、しかも先々に好材料が多い」参照

表1●回答のまとめ
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