クルマ 自動車の最新技術を追う
 

自動運転が引き起こす自動車構造の進化

狩集 浩志=日経エレクトロニクス
2013/09/20 05:00
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 2013年9月18日の本エディターズ・ノートで、日経Automotive Technologyの鶴原編集長が「現実味を帯びてきた自動運転」と題して、日産自動車が2020年までに自動運転技術を実用化すると表明した背景には、搭載するセンサの種類やコストの問題が解決するなど現実的なシナリオがあることを解説していました。

 実は日産自動車だけでなく、ドイツDaimler社も2013年9月9日に自動運転技術を搭載した車両を公開し、ドイツ国内の公道を100km以上にわたって自動運転していることを明らかにしています。Daimler社も日産自動車と同様に2020年までに実用化する方針です。

 さらに、電気自動車ベンチャーの米Tesla Motors社も3年以内に自動運転の実用化が可能と表明したとする報道などが相次いでおり、自動運転は自動車の電動化と並ぶ大きな関心事となっています。

 もちろん人の判断を介さない自動運転を公道上で本当に許可するのかという社会的受容性の大きな課題はありますが、近い将来、自動運転に関する技術を用いた信頼性の高い衝突回避機能を我々は享受できそうです。そうなれば、自動車そのものの構造を大きく変えられるかもしれません。

 現状の自動車は、衝突安全性を高めるために骨格を拡大していることに加えて、安全装備の増加に伴って車両質量が増えています。しかも、質量が増加すると、さらに骨格を強化する必要があり、安全性の強化と軽量化の“いたちごっこ”が続いています。これが仮に絶対ぶつからないクルマにできれば、車両構造をもっと簡易化でき、非常に軽量な車体を作ることができるはずです。

 こうした話は、今を遡ること7年前の2006年、車車間通信や路車間通信で自動車の安全性を高めるITS分野への関心が高まったころにも盛り上がりました。筆者は日経エレクトロニクスの2006年5月8日号の特集「クルマは無線で安全になる」を取材した際に、無線技術でクルマ同士が会話してぶつからなくなれば、自動車の基本骨格を大きく変更でき、燃費を大幅に改善できるという話を自動車技術者から聞き、目からうろこが落ちる思いをしたことを覚えています。

ホンダが2007年の東京モーターショーで披露した「PUYO(プヨ)」
ホンダが2007年の東京モーターショーで披露した「PUYO(プヨ)」

 では、車両構造を変えたクルマはどういう形状になるのでしょうか。その理想の車両の一つは、2007年の東京モーターショーでホンダが披露したコンセプト・カー「PUYO」に近いものかもしれません。PUYOは、燃料電池システムを床下に搭載し、インホイール・モータを採用することで、フロントフードをなくした全空間が客室の車両です。PUYOの場合は外装に柔らかい素材を使って歩行者がぶつかっても大丈夫な車両というのがコンセプトでしたが、本当にぶつからないクルマであれば、まさにすべてを客室として利用することが可能になります。

 現実味を帯びてきた自動運転ですが、構成技術の信頼性が高まれば、運転の自動化だけでなく、自動車の形状そのものを大きく変えることができ、自動車の新たな進化を引き起す可能を秘めているわけです。日経エレクトロニクスでは、日経Automotive Technologyと共同で、自動運転の最前線に関するセミナー「予防安全と自動運転シンポジウム 2013」を緊急企画いたしました。日産自動車をはじめ、ボッシュや国土交通省、JARIの専門家などが講演します。ぜひご参加ください。

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