弟妹:いろんな業界を受けてみようと思うんだ
兄 :何がやりたいんだ?
弟妹:何に向いているかなんて分かんないもん
兄 :いいか、自己分析をしてやりたいことを探すんだ。軸を決めて、業界を絞って受けるんだ
弟妹:僕の強みって何かな?
兄 :「八方美人」なところじゃないかな

という兄弟の会話です。

 どうしても、就活体験談は美化されます。就活経験者として「分からない」とはいえないですから、アドバイスはするものの……。八方美人が強みなんて、聞いたことがありません。

 お兄ちゃんのプライドが、「お兄ちゃんと同じことをすれば合格できるはず」という夢多き弟や妹たちの甘えと相まって、就職活動を迷わせてしまいます。

面接の基本 ―民間就職試験―

 下のチャートは、民間就職試験で聞かれる基本の質問をまとめたものです。縦軸に私生活と仕事、横軸に個人と集団を取り、同じ軸で聞かれた質問をプロットしています。

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 チームで仕事をすることが多い民間企業ですから、緑のところ、今までの私生活での集団行動経験が聞かれます。例えば、以下のような質問が聞かれています。

 ・部活動(成績、役職、継続年数、理由)
 ・アルバイトの経験の有無、内容
 ・行き詰まったり、困ったりした時どのように問題を解決しようとするか
 ・友人は何人か

 また、青のところ、集団での仕事がチームワークでできるかどうかが重視されます。

 ・苦手なタイプが上司だったらどうするか
 ・仕事は大変だが本当に大丈夫か
 ・興味がない仕事や土地勘のない仕事を任されたらどうするか
 ・やりたいこと(チーフ、企画、本部)までの時間に耐えられるか
 ・5年後、10年後のイメージ

 教員(前々回を参照)や公務員(前回を参照)の場合と違って、民間企業では、集団における特性と、長期的な勤労観がより重視されているのが分かります。“面接”とひと言で言っても、教員・公務員・民間企業の間ではこれだけ違います。

 就職活動を1回経験しただけでは、なかなか的を射たアドバイスをするのは難しいのです。

 「お兄ちゃん、お姉ちゃんに相談してごらん」と安易に相談役を振ることはオススメしません。